「けんかのたね」 家中の大騒ぎ、コミカルに

 
岩波書店 1430円

 お父さんが帰ってきて家のドアを開けると、中では犬が猫(ねこ)にほえかかり、4人の子どもたちは大げんかの真っ最中。お母さんが声を張(は)り上げても、誰(だれ)もけんかをやめません。

 一番上のドラは、弟が殴(なぐ)ってきたからその髪(かみ)を引っ張ったのだと言い、弟はドラが船の模型(もけい)の上に尻(しり)もちをついたから殴った、と言いました。尻もちをついたのは、妹がドラに絵の具をぶつけてびっくりさせたからと、けんかの原因(げんいん)がつながっていきました。でも、始まりは実は別のところにあったのでした。

 みなさんもきょうだいげんかをしたことがあるでしょう。叱(しか)られてしょんぼりしたり、仲直りしてほっとするドラたちの気持ちが、よくわかるのではないかと思います。

 大騒(おおさわ)ぎが収(おさ)まるまでがコミカルに描(えが)かれ、途中(とちゅう)で登場するねずみと猫のやりとりや、最後の場面には思わず笑ってしまいました。お話にぴったりのさし絵を、ゆっくり楽しみながら読んでほしい本です。低学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています