「博物館の少女 怪異研究事始め」 目利きの才能生かし謎解き

 
偕成社 1540円

 明治16年。大阪の古物商の家に生まれた花岡イカルは、相次いで両親を亡(な)くし、13歳(さい)で上京してきた。遠縁(とおえん)の大澤(おおさわ)家ではお茶などのお稽古(けいこ)の毎日だったが、イカルは苦手だった。

 ある日、大澤家の孫娘(むすめ)トヨと博物館を訪(おとず)れると、館長に目利きの才能(さいのう)を認(みと)められる。そして、怪異(かいい)学研究者、通称(つうしょう)トノサマのもとで手伝いをすることになる。古い蔵(くら)の品物と台帳を照らし合わせていると、黒手匣(くろてばこ)がなくなっていることに気付く。

 以前訪(たず)ねてきたフランス人が、「黒手匣は長崎の隠(かく)れキリシタン聖櫃(せいひつ)かもしれないので買い取りたい」と言ったという。イカルは何かに導(みちび)かれるように不思議な事件(じけん)の解明(かいめい)に関わっていくのだった。

 まだ女性(じょせい)が外に出て働くということがめずらしかった時代、10代の少女が博物館で働き活躍(かつやく)する物語。実在(じつざい)した人物や建物が所々に現(あらわ)れ、想像(そうぞう)をかき立てられる。主人公たちがまた不思議な出来事に出合い、謎解(なぞと)きをしてくれることを期待したい。中学生から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています