「タヌキの土居くん」 同級生は正直なタヌキ

 
福音館書店 1210円

 山のふもとの小さな小学校、山下小学校でのお話です。児童は1年生から6年生まで全部で10人。いえ、正しくは9人と1ぴき! 3年生の土居(どい)くんが、実はタヌキだからです。

 新学期の目標の「なかよく、元気に、しょうじきに」これを守るために、みんなを化かすのをやめた土居くん。友だちや先生方もはじめはびっくりしましたが、正直者のタヌキは珍(めずら)しいと口々にほめるのでした。

 算数が得意(とくい)な土居くんは児童会の会計に立候補(りっこうほ)したり、体育ではタヌキ体操(たいそう)でみんなを笑わせたり、音楽では腹鼓(はらづつみ)で校歌の練習をし、土居くんの大活躍(だいかつやく)の一日が描(えが)かれます。

 タヌキはだましたり化かしたりするもの、との思い込(こ)みをバッサリと裏切(うらぎ)る、明るくひょうきんな土居くんに笑みがこぼれます。こんな学校があったら楽しいなと思わせてくれる物語。温かみのある色合いで描かれた挿絵(さしえ)が、ほっこりとしたお話をより魅力的(みりょくてき)にしています。低学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています