「タヌキの土居くん」 同級生は正直なタヌキ

福音館書店 1210円
山のふもとの小さな小学校、山下小学校でのお話です。児童は1年生から6年生まで全部で10人。いえ、正しくは9人と1ぴき! 3年生の土居(どい)くんが、実はタヌキだからです。
新学期の目標の「なかよく、元気に、しょうじきに」これを守るために、みんなを化かすのをやめた土居くん。友だちや先生方もはじめはびっくりしましたが、正直者のタヌキは珍(めずら)しいと口々にほめるのでした。
算数が得意(とくい)な土居くんは児童会の会計に立候補(りっこうほ)したり、体育ではタヌキ体操(たいそう)でみんなを笑わせたり、音楽では腹鼓(はらづつみ)で校歌の練習をし、土居くんの大活躍(だいかつやく)の一日が描(えが)かれます。
タヌキはだましたり化かしたりするもの、との思い込(こ)みをバッサリと裏切(うらぎ)る、明るくひょうきんな土居くんに笑みがこぼれます。こんな学校があったら楽しいなと思わせてくれる物語。温かみのある色合いで描かれた挿絵(さしえ)が、ほっこりとしたお話をより魅力的(みりょくてき)にしています。低学年から。
※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています
- 「わらってよ ピッコ」 ポニーを笑顔に 兄と妹奮闘
- 「荒野にヒバリをさがして」 迷子の兄弟、心温まる絆
- 「大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語」 アフガンに井戸、65万人救う
- 「和ろうそくは、つなぐ」 職人の知恵、循環型の物作り
- 「てぶくろがいっぱい」 みんなの優しさ集まって
- 「戦争をやめた人たち・・・1914年のクリスマス休戦・・・」 敵兵士と共に歌、サッカー
- 「パンに書かれた言葉」 戦争の記憶、平和へつなぐ
- 「みんなの研究『女子サッカー選手です。そして、彼女がいます』」 性のあり方、個人を尊重
- 「ほじょりん工場のすまこちゃん」 春休みに自転車の特訓
- 「『オードリー・タン』の誕生」 心臓病や不登校乗り越え