「天の台所」 料理を習い家族を再生

講談社 1540円
僕(ぼく)は天(てん)、小学6年生。父と弟妹との4人暮(ぐ)らし。3歳(さい)の時に母と祖父(そふ)を事故(じこ)で亡(な)くし、世話をしてくれていた祖母も、昨年の冬に台所で倒(たお)れ亡くなった。第1発見者の弟はいまだに台所に入れず、わが家の食事は買った弁当(べんとう)やお総菜(そうざい)に偏(かたよ)っているのも問題アリかも?
あることがきっかけで僕は、祖母と仲の良かった上村(かみむら)商店主、通称(つうしょう)"がみババ"の台所で週1回料理を習いはじめた。ガミガミで厳(きび)しいけれど、基本(きほん)をしっかり教えてくれる。偏食(へんしょく)の妹の誕生日(たんじょうび)ケーキ、運動会のお弁当は、がみババに教えてもらって大成功! 今度、弟と妹と3人で子ども料理コンクールに出場することになった。メニューは祖母との思い出の味、あれにしたいのだけれど...。
台所のあるじを失い、心に穴(あな)のあいた一家が料理で再生(さいせい)する物語。めきめき料理の腕(うで)を上げる前向きな天と、辛口(からくち)ながら見守るがみババとの関係がとてもよい。料理を作る人も食べる人も笑顔になれる一冊(いっさつ)。高学年から。
※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています
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- 「てぶくろがいっぱい」 みんなの優しさ集まって
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- 「パンに書かれた言葉」 戦争の記憶、平和へつなぐ
- 「みんなの研究『女子サッカー選手です。そして、彼女がいます』」 性のあり方、個人を尊重
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