「マンチキンの夏」 演劇に挑戦、少女の成長

 
小学館 1760円

 私(わたし)はジュリア・マークス12歳(さい)、悩(なや)みは両親が心配するほど背(せ)が低いこと。家族は父母と兄と弟と犬のラモン(7週間前、心臓病(しんぞうびょう)で急死)。私はいまだにラモンの姿(すがた)をさがしてしまう。ラモンのいない今年の夏休み、親友2人も留守(るす)だし、私の予定は真っ白で何もない。

 するとママが、大学の劇場(げきじょう)でやる「オズの魔法使(まほうつか)い」のオーディションを受けたら? と言ってきた。プロの俳優(はいゆう)にまじり、地元の子どもたちがマンチキン(小人(こびと))の役をするんだって。弟ランディ(私と同じ背丈(せたけ)の10歳)が受けたがっているから私も一緒(いっしょ)に、ということらしい。仕方なく受けたオーディション。でも合格(ごうかく)! もちろん弟もね。4週間の稽古(けいこ)と3週間の公演(こうえん)で私の夏休みの予定は真っ黒に...。

 ジュリアのテンポのよい一人称(いちにんしょう)の語りは爽快(そうかい)で、個性(こせい)あふれる彼女(かのじょ)の心の声に読者も笑ったり、しんみりしたり。風変わりな演劇関係の大人たちに刺激(しげき)を受けたジュリアの、ひと夏のすてきな成長物語。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています