「きんいろのしか バングラデシュの昔話」 不思議な鹿と少年の冒険

 
福音館書店 1430円

 これは、バングラデシュに伝わる昔話です。むかし、グリスタンとよばれた国に、金(きん)が大好きな王様がおりました。国中の金を城に集め、「他の者はひとかけらも使ってはならない」というおふれを出していました。ある日狩(か)りに出かけた王様は、金色にかがやく鹿を見つけます。踊(おど)ると、足あとが金の砂(すな)に変わる鹿をつかまえようと追いかけますが、森の奥深(おくふか)くに逃(に)げられてしまいます。

 鹿は、逃げる途中(とちゅう)に出会った少年ホセンに、自分の行方を王様に話さないでほしいと頼(たの)みます。しかしホセンは王様にとらえられ、「鹿をつかまえなければ命はない!」と、命令されます。さて、困(こま)り果てたホセンは...。

 初版(しょはん)から半世紀(はんせいき)を経て復刊(ふっかん)された絵本は、心優(こころやさ)しいホセンの冒険(ぼうけん)から少し意外な結末までを、美しく生き生きと描(えが)いています。長く語り継(つ)がれてきた昔話は、私(わたし)たちに大切なことを伝えてくれます。読書の秋に、昔話をいかがですか。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています