「ぼくたちのスープ運動 小さな思いやりが世界を変える!」 「誰かのため」幸せ広げる

 
評論社 1760円

 病気で入院していたことがあるジョーダンは、イギリスの都会から田舎町(いなかまち)に越(こ)してきた。新しい学校に慣(な)れない日々が続く中、ひょんなことから、体を心配する母親が持たせてくれるスープジャーを、ホームレスの男性(だんせい)に差し出すことに。

 それは、入院中に知り合った大切な友だちリオとの約束を守る、最初の一歩だった。ユダヤ教の「ミツヴァー」(誰(だれ)かに何か良いことをする)を一緒(いっしょ)にやろうという約束。少し臆病(おくびょう)だったジョーダンが、ホームレスの人々の暮(く)らしを何とかしたい一心で、周囲(しゅうい)の助けを得(え)て地域(ちいき)や行政制度(ぎょうせいせいど)を変えていく...。

 この物語は、ある学生がオックスフォードのホームレスに自転車でスープを配ったという実話がもとになっています。思いやりの気持ちや優(やさ)しさを行動で示(しめ)すことが、平和に暮らせる世界の実現(じつげん)につながると作者は語ります。周りの誰かを喜(よろこ)ばせることで、幸せの波が広がっていくことでしょう。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています