「戦争をやめた人たち・・・1914年のクリスマス休戦・・・」 敵兵士と共に歌、サッカー

 
あすなろ書房 1650円

 1914年、第1次世界大戦が起きたヨーロッパでは、多くの市民たちが兵士(へいし)として戦争の最前線に送られました。

 12月24日の夜、ある戦場のドイツ軍陣地(じんち)から「きよしこの夜」の歌声が聞こえてきます。今日はクリスマスイブ。イギリス軍の陣地でも一緒(いっしょ)に歌う兵士たち。次の朝、「メリー・クリスマス」と両軍の兵士たちは陣地から出て共に歌い、お互(たが)いの家族や故郷(こきょう)の話をし、サッカーの試合もしました。

 兵士たちは銃弾(じゅうだん)より歌を、大砲(たいほう)よりサッカーを選んだのです。この「クリスマス休戦」はほかの戦場でも起きました。しかし、残念ながら戦争はこのあと4年間続き、たくさんの命がうばわれました。

 作者がこの絵本を描(か)いていた時、ロシアのウクライナ侵攻(しんこう)が起きました。「ほかの命を思う想像力(そうぞうりょく)と行動する勇気があれば戦争をやめることはできる」という作者の思いを、色鉛筆(いろえんぴつ)の優(やさ)しい色合いの絵が、私(わたし)たちに静かに力強く伝えてくれます。ぜひご家族で。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています