「てぶくろがいっぱい」 みんなの優しさ集まって

 
偕成社 1320円

 ネッドとドニーは、アメリカのミシガン州に住む双子(ふたご)の兄弟です。そこは冬になると、たくさんの雪が降(ふ)り、とても寒くなります。ですから、手袋(てぶくろ)と帽子(ぼうし)は冬の必需品(ひつじゅひん)です。

 いつもおそろいの赤い手袋をしている2人。ある日ドニーが片方(かたほう)の手袋をなくしてしまいます。でも大丈夫(だいじょうぶ)! すぐに友達のジェイニーが見つけて届(とど)けてくれましたから。

 しかし、ここからが大変! お隣(となり)さん、先生、郵便(ゆうびん)屋(や)さん、牛乳屋(ぎゅうにゅうや)さん...手袋をなくしたうわさを聞いた近所の人たちが、次々に赤い手袋を届けに来たのです。集まったたくさんの手袋を見て、なくして困(こま)っている人がいるのでは? と思ったネッドに良い案が浮(う)かび...。

 60年以上も前に描(か)かれたスロボドキン夫妻(ふさい)の絵本ですが、心(こころ)優(やさ)しい登場人物と温かみのある挿絵(さしえ)は古さを感じさせません。みんながこういう気持ちでいたのなら、穏(おだ)やかに幸せに暮(く)らせるのにと思うのです。寒い冬に、ほっこり温かなお話を召(め)し上がれ。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています