「和ろうそくは、つなぐ」 職人の知恵、循環型の物作り

 
アリス館 1650円

 ふーっと吹(ふ)き消す誕生日(たんじょうび)のろうそく。あれは「西洋ろうそく」といって、石油が原料の蝋(ろう)と綿糸(めんし)の芯(しん)で作られた工業製品(せいひん)です。では伝統的(でんとうてき)な「和ろうそく」はどんな材料で作られているのでしょうか?

 和ろうそくは昔から日本にある天然素材(そざい)、ハゼの実から搾(しぼ)った蝋と和紙、灯芯草(とうしんそう)、真綿(まわた)から作った灯芯とで職人(しょくにん)が一本一本手作りで仕上げてきました。

 愛知県の和ろうそく職人を取材し、蝋が木の実から採(と)れることを知った作者は、長崎県の「ちぎりこさん」と呼(よ)ばれるハゼの実を収穫(しゅうかく)する人を訪(たず)ねます。採ったハゼの実を搾る蝋職人から、搾った蝋カスは藍染(あいぞ)めに使うと聞き、福岡県の藍染め職人の所へ。さらに...。

 和ろうそくを出発点に9県11カ所の伝統産業の工房(こうぼう)を巡(めぐ)った作者。作り終わっていらなくなったものが、次の工房では必要な材料になるという"モノづくりのつながり"を記録した写真絵本。職人たちの循環型(じゅんかんがた)の物作りの知恵(ちえ)に驚(おどろ)かされます。中学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています