「ちいさな宇宙の扉のまえで 続・糸子の体重計」 小学生5人の素直な思い

 
童心社 1650円

 糸子(いとこ)は元気いっぱいで、食べることが大好きな6年生だ。姉からは女子力が低いと言われるが、他の女子のようにトイレに行くのも何をするにも一緒(いっしょ)ということが理解(りかい)できない。そんな糸子の前に転校生の恵(めぐみ)が現(あらわ)れる。

 恵は糸子と親友になりたいと独(ひと)りよがりな言動でつきまとい、糸子を困惑(こんわく)させる。クールな美人でクラスの女王様のような良子(りょうこ)、良子に憧(あこが)れる取り巻(ま)きのまみ。単純明快(たんじゅんめいかい)でノリがいいお調子者の径介(けいすけ)は、残った給食デザート争奪戦(そうだつせん)で糸子のライバルだ。

 5人がそれぞれに、外には見せない自身の内面を1章ずつ語る物語。自分を変えようと空回りしたり、糸子の率直(そっちょく)な言動から自身を見直したり、自分の奥底(おくそこ)にあった感情(かんじょう)に気付きうろたえたり、母子家庭で暮(く)らす母への思いなどが等身大で語られる。作中、卒業式での良子の答辞は勇気と希望があり心に残る。

 本書は2012年発行の「糸子の体重計」の続編(ぞくへん)で、併(あわ)せて読むとさらに楽しめる。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています