「僕らが学校に行く理由」 紛争、飢餓・・・困難の中で学ぶ

 
ポプラ社 2420円

 紛争(ふんそう)、飢餓(きが)、貧困(ひんこん)、児童労働...。大人がつくりあげた社会問題によって、世界中で大勢(おおぜい)の子どもたちが苦しみ、学びの機会を奪(うば)われている。例えばアフリカ東部のウガンダでは、長く続いた内戦と感染症(かんせんしょう)エイズのため多くの子どもたちが孤児(こじ)となった。

 11歳(さい)の少女シャロンもその一人。小学校で英語を学んでいたが、お金が続かず退学(たいがく)した。それでも彼女(かのじょ)は「学校は希望だ」と言う。南スーダンで、カンボジアで、ミャンマーで、バングラデシュで厳(きび)しい現実(げんじつ)を生きる子どもたちの姿(すがた)が写し出される。難民(なんみん)の子どもたち、ストリート・チルドレン、児童労働を強いられる幼(おさな)い子どもたち。その姿は痛々(いたいた)しくも、未来に希望を失わない強さと笑顔がある。ことに粗末(そまつ)な学校で必死に学ぶその様子は、とてもまぶしい。

 著者(ちょしゃ)は、これらの子どもたちと「まなざしをともにしよう」と訴(うった)える。それこそが学ぶことの意味であり、世界を平和にする道だと。今まさに手に取ってほしい写真集。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています