「やまの動物病院」 ネコの医者と患者たち

 
徳間書店 1870円

 町のはずれ、山のふもとに小さな動物病院がありました。お医者さんのまちの先生は、ネコのとらまると暮(く)らしています。実はこのとらまる、毎夜こっそり「やまの動物病院」を開いているのです。さて、今日はどんな患者(かんじゃ)さんがやってくるでしょうか。

 最初にきたのはキツネの親子。コンコンせきが止まらない子ギツネにせき止めのシロップを作り、3日間巣穴(すあな)で静かに過(す)ごすように伝えます。その後も、穴の掘(ほ)りすぎで手が荒(あ)れてしまったモグラ、木の実を頬(ほお)に詰(つ)めすぎて口内炎(こうないえん)ができたリスなど、次々にやってきます。そんなある日、にぎやかな音を立てて駆(か)け込(こ)んできたカモの姿(すがた)にびっくり仰天(ぎょうてん)! さすがのとらまるも頭を抱かかえてしまいます...。

 動物たちの挿絵(さしえ)が愛らしく、とらまるとの会話もくすっと笑えるお話。表紙のとらまるが立派(りっぱ)な白衣を着ている理由も、最後にわかりますよ。自分で読むなら低学年から、大人の方に読んでもらうのもお薦(すす)めです。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています