8割以上が女性、11万人に支持されるYouTubeチャンネル 「ゴミ屋敷」片付け動画の中毒性

 
YouTubeチャンネル『片付けトントン』 画像提供:片付けトントン

 YouTubeで“ゴミ屋敷”や“汚部屋”の片付け動画をメインにUPしている、ちょっと変わったチャンネルが注目を浴びている。ハウスクリーニングや不用品回収、生前&遺品整理などを請け負う愛知県の株式会社中西が運営するチャンネル『片付けトントン』だ。その高いクオリティーと、エンターテインメント性で、チャンネル登録者数は、なんと11万人以上。「すっかり虜になってしまいました」「編集がホントにおしゃれ」などといった声も寄せられている同チャンネルの、立ち上げの経緯や動画制作へのこだわりを担当者に聞いた。

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■「綺麗になっていく様子が気持ちいい」ストレス解消、掃除の大変さへの共感が鍵

――このような動画をYouTube上で公開しようと思ったきっかけはなんですか?

WEBサイトからの依頼を増やすためです。初期の頃は、片付けや掃除の小技を盛り込んだコント動画をアップしましたが、残念ながら結果は出ませんでした。そこでやっと「そもそも片付け業者がコントで集客ってどうなの?」ということに気付き、今のような実際の片付けの様子の配信に切り替えました。もっとも、コント動画を配信していたことにはメリットもありましたね。動画の表現の自由度が広がり、よりアットホームで親しみやすいものになりました。YouTubeを利用することで、ブランディング、詳しいサービス内容のPR、WEBサイトの検索順位アップ、問い合わせ増など、様々な効果が出ています。

――撮影から編集といった動画制作の流れを教えて下さい。

動画の撮影は特別なスタッフがいるわけではなく、iPod2台を回しっぱなしで時々アングルを変えるだけです。動画の編集、タイトル決め、ナレーション原稿の作成は、すべて1人の社員が担当しています。1日現場でも、約12時間分の生データがあるので、かなりハードな仕事です。編集前に情報を集めつつ動画をざっと眺め、どの現場のものを採用するかを決めます。その後、動画をじっくり見て、タイトルや構成を考えながらナレーション原稿を作成。ナレーションを取り終わったら、ひたすら編集という流れです。

――御社のYouTubeチャンネルが人気の理由はなんだと思いますか?

意外にも、私たちが配信している動画をご覧になっているのは8割以上が女性なんです。「綺麗になっていく様子が気持ちいい」というコメントも多く、ストレス解消で見ていただいたり、片付けや掃除などの家事の大変さに対する共感のようなものを、感じてくださっているのではないかと思っています。

――今までで一番再生数が高かった動画はなんですか?

『5年分の生活ゴミ!ゴミ屋敷を大掃除【片付け編】』は、2017年5月に公開以降、160万回再生されています。再生回数が多いのは、公開してからかなり時間が経っているということもありますが、ゴミの片付け以外にゴキブリの出現、小銭拾いシーンなど、アトラクション的に楽しめて、最後はスッキリ、という構成が受けているのだと思います。

――「ゴミ屋敷の清掃動画」について、撮影、編集で気を付けていることはなんですか?

個人情報が特定されるようなもの・背景が映っていないかに気を配り、映っていたらモザイクを入れます。また、ご依頼いただいた方を傷つけてしまうような表現が無いかにも、細心の注意を払っています。

――基本的には自宅を見られるのは嫌な方が多いと思いますが、公開されている部屋や家の住人とはどのような取り決めで撮影、公開許可を得ているのでしょうか?

動画撮影・公開許可をいただけるのは、退去や解体を予定されているゴミ屋敷や汚部屋のケースが多いです。ちなみに、ご協力いただける場合は割引価格でご案内しております。

■言葉だけではない、実際にスタッフの汗を拭う姿が好印象

――YouTubeチャンネルの運営を始めて、お客様や街の方など、周りの反響はいかがですか?

言葉だけでは限界があります。その点、動画でスタッフが汗をぬぐいながら懸命に片付けている姿は、インパクトがあります。「信頼してください」の一言よりも、スタッフが汗をぬぐう姿ですね。事実、YouTubeをご覧いただいている方の成約率は高いです。

――清掃、片付け動画だけでなく、「NG集」や「質問コーナー」などの動画もUPされていますが……

業者とは言え他人を家の中に入れるのは、抵抗があるでしょう。「NG集」や「質問コーナー」でスタッフの人となりを知っていただくことで、より安心していただけるのではないかと思います。

――YouTubeを見て面接を受けに来た人がいると伺いましたが、そういった方は多いのでしょうか?

YouTubeをご覧になり、「会社の雰囲気が明るくて楽しそうだから働きたい」とメールやお電話をいただくことも多いです。今のところYouTube経由での採用は2名で、大半は募集のタイミングと合わないためにお断りしていて、申し訳ないと思っています。しかし、3K(きつい、きたない、危険)の仕事で、ちょっと前なら応募する人は少なかったのですが、「楽しそう」と思える最近の若い人の柔軟性は頼もしいと感じています。

――社員さん個人にファンが付いているというようなこともありますか?

○○さん推し、箱推しとか、嬉しいコメントも多数いただいています。実際のご依頼でも、「○○さんの掃除テクニックが見たい」とご指名いただき、作業中ずっとお客様がスタッフの掃除風景を撮影し、大変お喜びいただいたということもありました。

――「ゴミ屋敷」清掃の依頼人は、どういった方が多いですか?

変な言い方ですが、お会いしてお話をすると、ごく普通の方々です。ただ、忙しかったり、ご病気だったりで、「物を捨てられない方」という点は共通しています。

――「ゴミ屋敷」は社会問題でもあり、病気を患っている方に多かったりと、暗い側面もあると思います。一方で、「ゴミ屋敷」をエンタメ化しているとも言えますが……

「ゴミ屋敷は社会問題」だと声を上げても、当事者の手助けに結びつくまでには時間がかかります。そこで、明るくテキパキと片付ける様子をご覧いただくことを解決の糸口にしようという試みも良いのでは、と思っています。今のところ「エンタメ化」的な部分への批判は極めて少なく、動画を見て「汚部屋を片付けることができた」「自分の部屋も綺麗にできる自信が付いた」というコメントをいただいていますが、今のままの方針で続けるかどうかはわかりません。慎重に状況を分析し、変えるべきところは変えていくつもりです。

――景観破壊、放火の危険性、悪臭など、社会問題としての「ゴミ屋敷問題」について、御社のお考えをお聞かせ下さい。

ゴミ屋敷は社会問題であるということも認識していますが、私たちにできることは限界があります。動画やブログをご覧いただくことで、ご自身で片付けることができれば一番良いし、無理なら業者に頼むのもアリですよ、というスタンスですね。商売ですから、もちろんご依頼いただくのが一番ありがたいですが……。