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林隆一副院長に聞く 国立がん研究センター東病院

林隆一副院長に聞く 国立がん研究センター東病院

甲状腺の病気や甲状腺がんの治療法などについて語る林副院長

 県民健康管理調査が進むにつれ、詳細な2次検査で甲状腺がんと診断される18歳以下の子どもの数が増えている。原発事故との因果関係などは検証過程にあるが、「がん」という病気の名前だけが県民生活に浸透し、子を持つ親をはじめ、不安を募らせる人は多い。甲状腺がんとはどのような病気なのか、症例や治療法などに詳しい国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の林隆一副院長に聞いた。

 ―甲状腺がんとはどういう病気なのか。
 「甲状腺のしこりには良性と悪性がある。良性のものに腺腫や嚢胞(のうほう)などがあり、悪性のものには甲状腺がんがある。甲状腺のしこりの4〜15%が悪性で、それ以外は良性だ。つまり、甲状腺のしこりを調べた場合、多くは良性ということになる。甲状腺がんは乳頭がんやろ胞がん、髄様がん、未分化がんに大別される。そのうち乳頭がんが甲状腺がん全体の9割を占める。乳頭がんはゆっくりとした経過を取る腫瘍であり、治療結果も良いがんだ。子どもの甲状腺がんは少ないが、治療結果は悪くない。むしろ若い人の方が良いくらいだ。適切に治療をすることで十分完治できる。甲状腺の腫れを持っている人はもともと女性に多い。福島の場合も結果として、(統計的に見ると)女性の方が多かったということは考えられる結果である」

 ―医療現場で行われている甲状腺がんの治療法は。
 「甲状腺がんの治療は手術が原則だ。いくつかの手術方法があるが、がんが確認された側の甲状腺を半分切除するのが一般的だ。甲状腺の半分を残せば、ホルモンを分泌する甲状腺機能に影響はなく、日常生活に問題は出ない。がんが左右両葉にある場合、また、片方にあっても甲状腺外に広がっている場合は全摘手術になる。その場合は、術後に、甲状腺ホルモン剤やカルシウム剤を毎日内服する必要がある。定期的に採血をし、適切に薬を服用することで健康に問題はない。甲状腺がんに対して内視鏡手術を行う医療機関もある」

 ―県民健康管理調査の甲状腺検査の現段階の結果をどう評価すればいいのか。
 「世界的に18歳以下でこのような大規模調査を実施したことがないので評価は難しい。A判定とB判定を合わせて経過観察が99%という数字も比較する元データがないので解釈は困難だ。亡くなった人を解剖した場合、甲状腺がんが見つかる場合もある。これは甲状腺がんを持っていた場合でも症状がなく、そのまま一生を終える人もいるという例だ。チェルノブイリ原発事故の際は、小児の甲状腺がんが多く発見されたのは事故後4〜5年経過した後である」

 ―県民健康管理調査を継続していく上で求められる取り組み、考え方とは。
 「登録体制、経過観察の体制を整えて、より精度の高いデータを蓄積するのが重要と考える。原発事故の影響があるのかどうかを科学的に調査・解析しなければならない。進学や転勤などによる移動もあるため、医療機関と行政、専門家による制度的なバックアップが必要となる」
(2013年9月10日 福島民友ニュース)



 

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