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仮設では「限界」 いまだ2万8000人超が生活、変動少なめ

仮設では「限界」 いまだ2万8000人超が生活、変動少なめ

 震災、原発事故で今も14万人近い県民が県内外に避難する。慣れ親しんだわが家を追われて3年。帰還や新たな生活を選択する動きが少しずつ出始めている。ただ、その選択は狭い仮設住宅での暮らし、家族離れ離れの二重生活が限界に近づき、やむなく決断した場合も多い。生活再建に向けて計画されている復興公営住宅の建設は遅れ、仮設暮らしはさらに長期化する可能性も高い。節目を迎えて国、県、市町村の支援の在り方が問われる。
 県内ではいまだ14万人近くの県民が県内外で避難生活を送っている。県内では仮設住宅と、仮設住宅と見なす民間借り上げ住宅が主な避難先。仮設住宅の入居者がピークに達したのは2012(平成24)年7月で約3万3000人。ただ、現在でも2万8000人以上が仮設暮らしを余儀なくされており、人数の変動は少なめだ。
 借り上げ住宅に避難した人の最大数は、震災後1年が経過した12年3月の約6万人。その後1万人以上が住宅を新築するなどで徐々に減少し、最近では5万人を割っている。一方、4万8000人近くの県民が本県から県外に避難する。県外避難者は、放射線への不安から震災直後から増え始めたが、12年3月上旬の約6万3000人を頂点に減少傾向にある。
 埼玉県加須市には、双葉町が旧騎西高に避難所を設置し、町民が役場機能と共に集団避難した。町民約6900人のうちピーク時の11年4月には約2割の約1400人が避難生活をしていた。昨年末に閉鎖した際の避難者は4世帯5人だった。

 大熊「雪がなければ」
 震災から3年を迎え、仮設住宅の老朽化が進んでいる。雪の影響を受ける会津若松市の仮設住宅は特にその傾向が強く、雨漏りなどに悩まされる住民も多い。
 大熊町の避難者95世帯が暮らす長原地区仮設住宅は市内の仮設で最も遅い2011(平成23)年11月に建てられた木造の棟割り住宅。住民の要望を受けて、これまで屋根の雪止めや風呂の追いだき機能などが整備された。今年は新たに玄関入り口の屋根を設置した。雪の影響で家から出られない住民がいたためだ。自治会長の斎藤重征さん(69)は「雪がなければ住みやすいところなんだけどね」と手に息を吹きかけながら、仮設住宅を見回っている。
 町担当者によると、仮設住宅の相談事では「雨漏り」や「ドアの建て付けが悪くなった」などが多い。長原仮設では2月にも雪の影響で雨漏りが発生し、別の部屋に引っ越す住民も出た。斎藤会長は「早く自分の家が持てればいいんだけどな」と肩をすぼめて見せた。浜通りから避難する住民にとって、慣れない雪国の暮らしは、限界に近づいている。

 浪江「高齢者支援を」
 「帰れないのはしょうがないが、ここをついのすみかにするのは耐えられない」。浪江町から避難する福島市の宮代仮設住宅自治会長の萩野虎夫さん(66)は5月以降、南相馬市に家を建てて移り住むことを決意した。
 移住を決断するまでには悩みに悩みぬいた。住民のまとめ役の自治会長としてほかの住民と一緒に帰還することを切に願っていたからだ。ただ、自宅がある同町室原地区は原発事故で帰還困難区域となり、戻れるのは月1回認められる一時帰宅だけ。4畳半2間の仮設の狭い部屋に妻と2人で約2年8カ月を過ごした。住宅の基礎の木は傷みが目でも確認できるという。「もう待ち続けるのは限界」。自分で新たな生活基盤を探した。
 「自分たちはまだ体力があるから、自ら動きだせた。しかし独り暮らしのお年寄りは難しい」と萩野さん。仮設に住む独り暮らしの高齢者への支援の行方が案じられるという。だからこそ行政や東京電力に対し「動きたくても動けない高齢者への支援を最優先に力を尽くしてほしい」と求めた。

 「復興公営住宅」整備に遅れ 
 建設事業者の人手不足などを背景に県内で相次ぐ入札不調などにより、避難者の恒久的住宅となる復興公営住宅の整備に遅れが出始めている。避難者の多くは仮設住宅や民間借り上げ住宅で暮らす。短期が前提の仮設住宅は震災から3年が近づき老朽化の懸念が強まる。借り上げ住宅も2015(平成27)年3月末となっている入居期限の延長について国は方針を示しておらず、将来の生活の安定が確保されているとは言い難い状況にある。
 県は、15年度までに3700戸の復興公営住宅完成を掲げ整備を急ぐが、2月6日現在の発注戸数は約450戸にとどまる。新年度予算案にも450億円を計上しており、県は整備を加速させる考えだが、用地取得にも遅れが見え始めているほか、入札不調にも改善の兆しは見えない。今後、20年の東京五輪開催に向けて建設業の人手不足はより強まる見通しで、復興公営住宅の建設が計画通りに進むかは不透明な状況だ。
(2014年3月3日 福島民友ニュース)



 

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