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大学生“支援の輪” 復興へ現場体感、実体験を胸に刻む

 県内の大学生らは、県産品の消費拡大や風評被害の払拭(ふっしょく)、避難者の子どもの学習支援、被災地の現状の情報発信などを通して地元の復興を支援する取り組みを続けている。その活動は普段の講義では得られない実体験の教育として学生の胸に刻まれている。

 【会津ボランティア】子どもの勉強手助け
 避難者支援を目的に、会津大短期大学部の学生を中心に2011(平成23)年5月に設立した会津学生ボランティア連絡会。現在も会津若松市の仮設住宅で子どもの学習支援を続けている。
 設立は震災から1カ月ほど続けた炊き出しが契機。今も週2回の学習支援を仮設住宅2カ所で実施。勉強を教え、季節の行事を繰り広げ、悩み相談を受ける。活動3年目は「子どもの居場所づくり」をテーマに、居心地の良い雰囲気づくりを心掛けたという。
 本年度は避難者の浜通りへの引っ越しが顕著だった。代表を務める同学部2年の室井佳奈さん(20)は、いわき市に転居する大熊町の児童から「引っ越したくない」と相談され、心のケアの必要性を強く感じた。卒業を機に活動は後輩に引き継がれるが、「子どもに寄り添う活動を続けて」と思いを託す。設立から携わる同学部社会福祉学科長の戸田典樹教授は「震災の風化で子どもをはじめとする避難者支援が手薄だ。被災者や被災自治体に復旧、復興を任せるのではなく、国や関係機関が本腰を入れて対策を講じるべき。県内自主避難者も支援対象に位置付けるべきだ」と指摘する。

 【福島大】県産品の安全性PR
 福島大経済経営学類の小山良太准教授のゼミ生は、福島市の中心市街地などで「直売」と「青空市」を組み合わせた「街なかマルシェ」を開き、県産農林水産物の消費拡大や風評払拭に挑んでいる。
 昨年8月にJR福島駅前で開いた「街なかマルシェ」では、生産者と学生が対話する形式で、安全性確保の取り組みを消費者に伝える「ファーマーズカフェ」や、学生が出店店舗ごとにインタビューし、商品の魅力を紹介する「福島のうまいもんレポート」などのイベントを企画、若者の感性から県産品の安全性をアピールする方法を提案した。
 街なかマルシェは企画から農家、飲食店への出店交渉、広報活動、会場設営まで、全てゼミ生が携わるが、その中心は3年生。針生弘実さん(21)は「福島の人が福島の県産品の安全性を理解し、食べてもらうことが県外の人により食べてもらうことにつながる」と思いを話す。針生さんら小山ゼミの学生が受け継いできた思いは後輩たちにも伝わっている。2年の五十嵐和さん(20)は「街なかマルシェの常設化を目指していきたい」と目標を掲げる。

 【いわき明星大】放射線のデータ研究
 いわき明星大は一昨年4月、東日本国際大と連携して震災復興活動の拠点となる「いわき地域復興センター」を開設、放射線の研究や震災記録の保存事業などに取り組んでいる。
 放射能などをテーマにしたミニ相談会も随時開催し、市民への情報提供に努めている。2月下旬に開いた相談会では、昨年4月から12月までに市民や企業から持ち込まれた農産物や土壌約780検体の放射性物質測定の結果について、担当する佐藤健二科学技術学部教授が解説した。佐藤教授によると、センターの設置当時から比べると、測定に持ち込まれる件数は減少傾向にあるというが、家庭菜園を再開した市民が安全性の確認のために持ち込むケースなども多く、いまだに需要は高い。佐藤教授は「測定してきたデータをどのように生かすか、市民のニーズに照らしながら考えていきたい」と話している。

 【東日本国際大】海外向けHPで発信
 東日本国際大は「いわき地域復興センター」の事業として、留学生らが母国語でいわき地域の情報を発信するホームページ(HP)を作成している。
 海外からの観光客が減少する中、留学生がリアルタイムで世界に情報を発信し、風評被害の払拭(ふっしょく)につなげようと、一昨年11月から始めた。HPには、イベントのリポート記事などを盛り込み、留学生の視点から復興の現状なども紹介。現在は中国語、韓国語、日本語の3カ国語で掲載している。ライターのアン・ヒョンウォンさん(20)=韓国出身、経済情報学部2年=は「いわきの現状と、韓国での報道にはギャップを感じている。それを少しでも埋められたら」。いわき市出身でシステム管理に関わる金子敏樹さん(21)=同学部3年=は「地元の復興に携わることができ、やりがいを感じている」と話す。

 【日大工学部】仮設訪れヒアリング
 富岡町復興まちづくり検討委員長を務める日大工学部建築学科の土方吉雄准教授。研究室の学生は避難生活を送る富岡町民らにヒアリングを行ってきた。卒業研究の一環として取り組んだ4年の篠井涼さん(22)は「復興にちゃんと関わってみたかった」と話す。
 長野県出身の篠井さんは2年になる直前、震災に遭った。「都市計画を学ぶ学生になった以上、少しでも復興を手伝いたい」と昨年、同町民が避難生活を送る三春町の仮設住宅でヒアリングに取り組んだ。避難者の生の声を聞き、「いろいろな考えの人がいた。でも口では『帰れない』と割り切っている人も、本心では『帰りたい』という思いを感じた」。卒業研究では避難を余儀なくされた「環境移行」についてまとめ、要介護者などの支援策も提案、「地域、住民に寄り添った計画が大切」と訴えた。
 今春に本県を離れ、首都大東京大学院に進学するが、「福島に来たのは何かの縁。東京でも、福島の都市計画に関わりたい」と希望する。東京では本県に携わる研究は少ないといい、震災の風化も懸念される中、土方准教授は「本県を知る人が全国に散ることが、ひいては本県の復興につながるはず。提案を復興計画にも取り入れ、具現化を目指したい」とエールを送る。
(2014年3月10日 福島民友ニュース)



 

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