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「関連死」本県突出 原発事故の避難影響、直接死上回る

「関連死」本県突出 原発事故の避難影響、直接死上回る

 狭い仮設住宅での暮らしや、慣れない土地で生活する孤立感。長引く東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による避難は、被災者の心身の健康を脅かす。避難後の環境変化などで被災者が亡くなった「震災関連死」は増え続け、地震や津波などの犠牲となった「直接死」を上回る。避難市町村は仮設住宅などを巡って見守り活動などの対策を進めている。ただ、古里の復興は先行きが見通せず、避難生活はさらに長期化が見込まれ、震災関連死を防ぐ取り組みは重要度をさらに増している。
 県の10日現在のまとめによると、避難の影響などで震災関連死と認定された死者数は1671人となり、地震や津波などによる直接死の死者1603人を上回っている。同じ被災県の岩手、宮城両県は1月末現在で岩手が434人、宮城879人。本県の関連死は突出して多い。県内市町村ごとの関連死者数は、南相馬市が447人で最多、浪江町の317人、富岡町の232人と続く。次いでいわき市だが、関連死者数は125人で原発事故による避難者数が多い市町で、関連死が生じている状況が浮かぶ。
 復興庁の調査(昨年9月末現在)によると、震災後1年を過ぎてから死亡した割合は岩手、宮城両県が3%以下なのに対し、本県は16%に上る。原発事故による生活環境の変化や先が見えない避難生活へのストレスなどが高齢被災者の体調を悪化させているという。

 命の不安抱え
 「症状がいつ出るか分からないから、ニトログリセリンは手放せない」。双葉町からいわき市に避難し、仮設住宅に1人で暮らす田中イクさん(74)は就寝時はもちろん、出掛けるときも持ち歩く薬を手元に引き寄せた。
 狭心症は10年以上前に見つかった。胸が締め付けられるような痛みに襲われると、この強い薬を口に含んで症状が落ち着くのを待つ。長年そうして病気と付き合ってきた。
 原発事故で古里は避難区域になった。埼玉県で約1年間の避難を経て、仮設住宅に移り2年になる。最近は仮設内のサポートセンターに出掛け「きょうだい以上のつながり」という同じ境遇の町民と茶話会などを楽しむ。「暗い話をせず、楽しく時間を過ごしている」。その時は笑顔になれる。
 しかし「慣れない環境で、精神的にもつらい」という避難生活が長期に及び、つい気をもんだり、将来のことを考えたりしてしまう。そうした時に狭心症の症状に見舞われる。ニトログリセリンは双葉にいた時より使用頻度が増えた。「精神的に自由がなくなった。そこから症状が重くなる」。命の不安を抱えながらの避難生活が続く。

 丁寧に声掛け
 浪江町は、1人暮らしと65歳以上の高齢者約1000人が暮らす仮設住宅で、町社会福祉協議会の生活支援相談員22人が見守り活動を進めている。相談員が2人一組になってそれぞれ二本松、福島、桑折、本宮各市町の仮設住宅計27カ所を毎日巡回。最低でも週1回程度、お年寄りに声を掛けるなど安否を確認する。
 同町からの避難者が暮らす二本松市の仮設住宅では昨年2月と4月、それぞれ1人暮らしの男性が孤独死する不幸な出来事が起きた。町社協は、長引く避難生活が避難町民の心身いずれにも及ぼす影響を懸念する。
 生活支援相談員の芹川勇慈さん(42)は震災、原発事故後の2011(平成23)年8月から仮設住宅での見守り活動に参加する。お年寄りたちは「元気だ」と明るく振る舞うことも多いが「その時々の表情や声音に注目し、いち早く兆候をキャッチできるよう心掛けている」と話す。
(2014年3月11日 福島民友ニュース)



 

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