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避難者、悩み多き生活再建 帰るべきか…避難先に残るか

避難者、悩み多き生活再建 帰るべきか…避難先に残るか

 避難区域からの避難者に対する国、県の支援は主に、応急仮設住宅の提供や就業・事業再開支援などの生活再建策や、健康・心のケアなど長引く避難生活による影響を少なくする対策、避難者に必要な情報発信などを展開している。しかし避難開始から3年6カ月が経過し、避難者の生活の多様化や、避難者が帰還を判断しにくくなっていることで、支援を一層難しくしている。

 【田村・都路】長男家族と離れ離れ
 各地で造成が進む復興公営住宅は最大の避難者支援策の一つだ。飯舘村が整備した福島市の住宅で、9月からようやく入居が始まったが、何度も募集を繰り返す団地も出ている。背景には、どう生活再建するか決めかねている避難者の事情がある。東京電力の賠償をみて住宅再建を思い描く避難者も多い。また、復興公営住宅への応募は住宅ができてからでも間に合うと考える人も多く、完成当初は部屋が埋まらないという見方もある。
 田村市都路町小滝沢の渡辺清一さん(66)は、昨年8月に始まった特例宿泊制度を利用して妻(60)と母親(89)と3人で原発20キロ圏内の自宅に戻った。しかし、震災前に同居していた長男(33)家族とは離れ離れのまま。渡辺さんは家族が再び一緒に暮らせる日が来ることを願っている。
 長男夫婦は避難指示解除後も同市船引町の借り上げ住宅にとどまることを選んだ。5歳と2歳の孫娘の子育て環境を考えての判断だという。「放射線量への心配もあるし、同級生も少ない。一緒に住みたい気持ちは強いが、仕方ない」。渡辺さんは寂しさを感じながらも長男夫婦の判断を尊重している。
 3世代同居を見越して10年前に新築した自慢の家から、以前のにぎわいは消えた。今は2週間に1回程度、長男の家族が遊びに来ることが一番の楽しみだ。「にぎやか過ぎてうるさいぐらい。でもそれが幸せ」と渡辺さん。
 年配者は都路に戻り、若い世代は都市部にとどまる。渡辺家のようなケースは少なくない。「周りも高齢者ばかり。このままだと地域が衰退してしまう」。若者が減ってしまった地区の将来に、渡辺さんの不安は募る。
 ▽線量の推移 田村市都路地区の原発20キロ圏内の放射線量の推移は、除染前後で市道小滝沢線の終点で毎時0.85マイクロシーベルトが0.23マイクロシーベルトに、地見城多目的研修集会施設で0.53から0.09マイクロシーベルト、場々クリーンハウス前で0.78から0.22マイクロシーベルト、合子集会場で0.64から0.12マイクロシーベルトとなった。(一時立ち入りにより同市が測定を開始した2011(平成23)年10月20日現在と今年8月8日現在を比較)
 
 【川内】来月解除「安心」どう確保 
 川内村東部の避難指示解除準備区域が10月1日に解除される。除染や道路など生活インフラの復旧は進んだが、解除後の住民帰還に向けた「安心」の確保が課題となっている。
 政府が解除方針を決めた8月17日の住民説明会。参加した住民からは解除に反対する意見が相次いだ。東京電力福島第1原発は完全収束に至っておらず、住民の健康不安は根強い。震災前の生活圏だった富岡、大熊両町は全域が避難区域のままで、周辺の生活環境に対しても不安を抱える。
 村内では復興公営住宅や複合商業施設の整備が始まっており、今後は生活の利便性向上が期待されている。ただ、避難区域内では解除後に新たな課題が出ることも予想され、政府や村は解除後も復興支援を継続する方針だ。
 ▽線量の推移 環境省が除染後に実施した事後モニタリングによると、川内村の宅地では除染前に比べて平均で毎時1.11マイクロシーベルトから0.41マイクロシーベルトに下がった。低減率は63%だった。このうち避難指示解除準備区域の軽減率は61%、居住制限区域は67%だった。同省は「除染の効果は維持されている」としている。また、農地の低減率は平均で53%だった。
(2014年9月11日 福島民友ニュース)



 

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