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川俣町、不信感から仮置き「一時拒否」 汚染土壌一時保管

川俣町、不信感から仮置き「一時拒否」 汚染土壌一時保管

住民に仮置き場の保管延長への理解を求める古川町長(中央)=2月18日

 除染で出た汚染土壌などを一時保管する仮置き場の設置延長をめぐり、川俣町は一時、国からの延長要請を拒否した。再度要請を受けた町は今年2月に延長要請を受け入れる姿勢に転じた。町が反発した背景には、搬入先となる中間貯蔵施設の建設の遅れを知りながら“約束期限”ぎりぎりで延長要請に動いた環境省への不信感があった。
 昨年11月末。環境省福島環境再生事務所の関谷毅史所長から申し入れを受けた古川道郎町長は「受け入れる気はない。3年と約束してきた」と反発。その後、古川町長は福山守環境政務官から陳謝を兼ねた保管延長の要請を受けて受け入れ姿勢に傾いた。町で2月18日に開いた住民説明会で、古川町長は「やむを得ないと思うに至った。中間貯蔵施設を受け入れる自治体は苦労している。町だけの問題ではない」と述べ、中間貯蔵施設を受け入れた大熊、双葉両町などへの配慮を口にした。
 町は地区ごとに住民説明会を開き、住民理解を求めている。古川町長は「(環境省に対し)何度も現実的に対応するべきと言ってきた。搬出のスケジュールを示すように求める」と話す。
 住民の多くは除染と仮置き場の必要性を感じているだけに、環境省は中間貯蔵施設の進行状況を踏まえた搬出時期の早期提示が求められている。

 地権者会の会長、県外最終処分へ活動
 「古里を最終処分場にさせないよう取り組んでいきたい。地権者会の活動はまだ始まったばかりだ」。中間貯蔵施設が建設される大熊、双葉両町の地権者約100人でつくる「30年中間貯蔵施設地権者会」の会長で、大熊町からいわき市に避難する門馬幸治さん(60)は、施設の必要性を受け止める一方で、このままでは本県の未来を揺るがす”禍根”になるとの不安を拭えずにいる。
 地権者会は両町の地権者有志により昨年12月に発足。県外最終処分への具体的な工程の提示などを求め、国や県、両町に対し独自に要望を展開してきた。しかし国は地権者との議論を尽くさぬまま、間もなく「搬入」を始めようとしている。「地権者は蚊帳の外で、あっという間に建設・搬入が決まった。このままでは県外最終処分も危うい」と30年後を見据えて焦る。
 今後は、施設の監視と県外最終処分の実現などを求め、
本県再生や古里復興に寄与していく。加えて、活動を続けるには施設周辺の町民や両町、県民も一体となる必要性も訴える。「これから国と地権者の用地交渉が始まる。地権者に最も近い両町がしっかりと寄り添ってほしい」。地権者会の活動は震災5年目に新たな出発点を迎える。

 候補地住民、「押し付け」募る憤り
 「搬入後30年以内に県外で最終処分することが法制化されたとはいうが、将来は国の都合に合わせて法律が変えられてしまうのではないか」。中間貯蔵施設の建設候補地の一つ、双葉町郡山地区から茨城県北茨城市に避難する斉藤宗一さん(65)は危惧する。
 国が昨年、地権者を対象に県内外で開いた説明会に参加したが「これまで質問への返答もなく、何の対応もない」と指摘する。一方で、県が中間貯蔵施設の建設や搬入の受け入れを国に伝えるなど、事業が進められてきたことについて「地権者の意見も聞かず、置いてきぼりにされている」と憤る。「中間貯蔵施設の必要性は十分分かっている。だが、これまでの国の進め方は地権者への一方的な押し付けだ」と国の姿勢を批判。「土地の評価額が高い安いの問題ではない。われわれの話にきちんと耳を傾けてほしい」と話した。

 栃木・塩谷町長訴え、「福島に集約すべき」
 東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、昨年11月、栃木県の処分候補地とされている同県塩谷町から声が上がった。「栃木を含む5県の指定廃棄物を同原発周辺に集約すべきだ」
 同町の見形和久町長は「福島第1原発周辺に計画されている中間貯蔵施設に、福島県内の廃棄物だけでなく、栃木など5県の指定廃棄物も併せて中間貯蔵すべきだ。廃炉が終了すれば、敷地内に最終処分場を建設するのが適正な方法」と訴えていた。
 同町の主張の一方、安倍晋三首相が2月の参院予算委員会で「各県で発生した指定廃棄物はそれぞれの県内で処理することが適当と考える。これを見直す予定はない」と述べている。

 村井宮城知事も本県で処分言及
 「県民や県議会から、最終処分場を福島県に集約するよう働き掛けてはどうだとの声が届いている」。宮城県の村井嘉浩知事は昨年12月、就任のあいさつで訪れた内堀雅雄知事に対して、こう言い放った。
 指定廃棄物の本県での集約を求めて国と協議していることを伝え、内堀知事に理解を求めたのだ。
 結局、村井知事はその後の県議会で「(各地で処分するという)国の方針に基づき、最終処分場を建設するべきだ」と述べ、宮城県内で処理する方針を表明したが、隣県にも本県での処分を望む声があることを知らしめた。

(2015年3月10日 福島民友ニュース)



 

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