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「元の場所」願う商工業者 加藤さん、なじみ客一言後押し

「元の場所」願う商工業者 加藤さん、なじみ客一言後押し

「お客さんに応援してもらっている」と感謝する加藤さん

 「現在は事故前の半分ぐらいの客数。でも、避難先からでも訪れてくれる人たちがいる。避難指示が解除されれば、お客さんは増えるだろう」。南相馬市小高区で理容店を営む加藤直さん(65)は、避難指示解除後のことを見据えている。
 東京電力福島第1原発事故で避難区域となった同市小高区。2012(平成24)年4月に区域再編が行われた後、別の場所で営業を再開しようかと考えながら自宅兼店舗の片付けをしていた時、なじみの客が訪れた。「カットできるかい」。求めに応じた加藤さんはその後、元の場所で理髪店を再開した。
 震災の影響で上下水道が復旧していなかったことから、散髪に欠かせない水が14年初めごろまで使えなかった。加藤さんは仮設住宅から毎日100リットルの水を運び、ポットでお湯を沸かしてシャワーに使った。「自分の力でできることはやっていかなくてはいけない」との考えが根底にあるからだ。
 全域が避難区域となった同市小高区の住民は現在、市内外で避難生活を送っている。「来春以降の避難指示解除後の帰還を考え、『戻ってからお世話になるよ』と言う人もいる。市内の避難先だけでなく、仙台やいわき、福島、郡山などからもわざわざ来てくれる人がいる。応援してもらっている」と感謝する。
 原発事故後、1年間は知人を頼り、都内の理容店で働いた。「自分の店があるのに営業できなかった。その時期に比べれば、今は恵まれている」。依然として将来が不透明な中でも、光明を見いだしている。

 「放射能さえなければ」 
 富岡町大菅の富岡自動車学校は、公安委員会の公認を受ける全国の教習所で唯一、帰還困難区域に立地する。管理者の新長(しんちょう)カツ子さん(62)、副管理者の学さん(37)親子は「施設に震災の被害は全くなかった。放射能さえなければ何とかなるのに」と再開できない歯がゆさを口にする。
 同校は1963(昭和38)年開設。震災前は双葉郡内各地から年間約400人が通学していたが、現在は「賠償金をもらっても、会社の利益とみなされ税金として徴収されてしまう。お金があっても、過当競争防止などの点から他地域への移転も難しい」とカツ子さん。勤務していた若手指導員は「縛り付けるわけにはいかない」と他県の教習所に就職させた。人材不足の上、車両は汚染され使用できない。設備と人材がなければ認可は下りないという。
 それでも「避難指示が解除されたら再開する」と前を向くカツ子さん。一部の指導員の雇用は継続しており、将来を見越して毎年、法定講習を受けさせている。「楢葉町で避難指示が解除になる。高齢者の交通安全講習などで教習所が必要」。カツ子さんは「震災前の規模では難しいが、できることから再開させたい」と心に決めている。
(2015年9月3日 福島民友ニュース)



 

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