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建設予定地地権者…思いはさまざま 「土地手放すか」迷い

建設予定地地権者…思いはさまざま 「土地手放すか」迷い

土地購入に関する環境省の資料に目を通す菅野さん。手放すか否か、自問自答の日々は続く=いわき市小名浜

 「(中間貯蔵施設を)建ててほしくはない。でも、反対し続けたら復興が進まない」。双葉町からいわき市小名浜に妻と避難する菅野武綱さん(73)は、先祖伝来の土地を手放すか否か、自問自答の日々が続いている。
 双葉町では、自宅の周りだけでも住居や牛小屋、蔵など9棟が立ち、畑もある広い土地で暮らしてきた。「いつか双葉に帰る」との思いを胸に、避難生活を送ってきた。
 しかし、政府が中間貯蔵施設を建設するため、自分の土地を含む東京電力福島第1原発周辺が国有化されることを新聞報道で知った。「もう何とも言えない気持ち。一方的に決まって、納得いかないよ」。その後、環境省が開いた説明会では、決まった方針を説明されただけだった。
 今年の春ごろ、環境省の職員が用地交渉に訪れた。「手放せば双葉町民じゃなくなる」。その思いが強く、家には上げずに玄関で手短に応対した。今月2日、2度目の訪問時には、思いの全てをぶつけようと家に上げた。「国有地化決定前にもっと町民と話し合うべきだった」「民家に建てず、元から持ってる国有地に最終処分場を建てればいい。双葉町民はどれだけ犠牲になるのか」。その問いに、職員は具体的には何も答えなかったという。

 「協力するほかない」  新天地の生活決意 
 「自宅の土地を手放し、新天地で生きていくと決めた」。中間貯蔵施設が建設される予定の大熊町夫沢から会津若松市の仮設住宅に避難している石井文明さん(63)は建設を受け入れ、今月中に補償額算定に向けた自宅の物件調査を受ける。
 自宅は東京電力福島第1原発から直線で1キロもないほど。夫沢地区で生まれ育ち、30年ほど前に実家近くに自宅を建てた。自宅の放射線量は高く、8月9日の一時立ち入り時に線量計が毎時40マイクロシーベルトを示した。「故郷への思いは強いが、自宅は高線量で住めない。帰還はあきらめた」
 環境省は、今年から地権者への個別説明を本格化させた。石井さんは昨年10月の住民説明会に出席したきりで、個別説明の連絡は一切なかった。7月になり詳細な話を聞きたいと知人を通じて環境省に連絡し、同月15日に初めて個別の説明を受けた。職員2人と2時間ほど話し合い、物件調査を承諾した。
 「帰還できない以上、協力するほかない」。本県復興には除染が必要で、中間貯蔵施設は欠かせないと考える。「このまま立ち止まってもいられない。仮設住宅から出て妻と新生活を歩むんだ」。来春には郡山市の新居に引っ越す予定だ。
(2015年9月6日 福島民友ニュース)



 

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