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農業再生…一歩ずつ 農地復旧、生産増へ農地大区画化

農業再生…一歩ずつ 農地復旧、生産増へ農地大区画化

震災から5度目の秋を迎え、今年も始まったコメの全袋検査。14年産米は99%以上が基準値を下回った=8月、二本松市

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故は、発生から4年6カ月がたった今も、本県農林業に影響を及ぼし続けている。本県農業をリードするコメは、風評被害や米価低迷などの“逆風”を受けながらも、5年目の秋を迎えた。野菜栽培では、技術の導入などで被災を乗り越えようとする動きも出ている。一方、原発事故で汚染された広大な森林の大半はいまだ除染も手つかずで、林業再興までの道のりは遠いが、その中にも県民が奮闘する姿がある。
 東日本大震災による津波で被災した県内の農地は、約5460ヘクタール(避難区域含む)に上る。県によると、昨年度までに2252ヘクタールの農地が復旧に向けて動きだした。このうち990ヘクタールで復旧が完了し、81ヘクタールでは営農を再開している。5日に避難指示が解除された楢葉町では復旧が始まったが、ほかの避難区域は未着手で、農地の復旧、営農の再開のめどは立っていない。
 県は、営農再開後の生産性向上を見据えて、大区画化を図りながら農地の復旧を進めている。しかし、津波で農業機械や資材を流失した生産者の営農再開、米価下落や原発事故の風評に伴う生産者の生産意欲の低下、担い手の確保など、被災地の農業再生に向けた課題は山積している。また、農地が復旧しても、震災の傷が完全に癒えるわけではない。新たに運んだ土から小石が多く出て、思ったような作付けができなかった例も多い。
 野菜栽培では、塩害でじかまきができなくなったことなどから、建物の中で土を使わない水耕栽培に切り替えたケースもある。ただ、従来よりも費用がかさむことが多く、補助金なしで自立できるかは未知数だ。

 米価低迷、根深い風評 
 本県農業を支えるコメ。需要減と過剰在庫によるコメ余りなどで全国的に米価が下落する中、県産米は原発事故の風評被害の影響で一層の米価低迷に苦しめられている。
 2014(平成26)年産米の玄米60キロ当たりの今年6月までの平均価格は、会津産コシヒカリが1万2985円で、全国平均の1万2021円を上回った。しかし、震災前は全国平均と同等の価格だった中通り産は9829円、浜通り産は1万2円で、いずれも全国平均を下回った。
 県などが県産米の安全性を証明するために取り組んでいる全袋検査では、14年産米は今年9月5日現在、1100万7657点を検査し、食品の放射性物質濃度の基準値1キロ当たり100ベクレルを下回ったのは99.99%に当たる1100万7655点だった。このうち、99.98%の1100万5704点は検出限界値未満。本年産米についても8月から、県内各地で全袋検査が行われている。
 それでも、県の幹部は「現在も県外だけでなく、県内の量販店でも県産米を取り扱う売り場面積は狭いまま」と風評の根強さを語る。県は、その払拭(ふっしょく)に向け、トップセールスやキャンペーンなどを展開し販売促進を強化するほか、品質向上を図り消費者に選んでもらえるコメの生産を後押しする考えだ。
(2015年9月11日 福島民友ニュース)



 

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