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原発災害・「復興」の影
帰れない
 
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他に選択肢はないはず 古里・双葉は「中間貯蔵」候補地

他に選択肢はないはず 古里・双葉は「中間貯蔵」候補地

楢葉町で7月に行われた中間貯蔵施設建設候補地のボーリング調査。双葉町ではまだ行われていない

 「壊れた所はありませんか」。大型の台風18号が各地に爪痕を残し、一夜明けた17日朝、双葉町から福島市に避難する鈴木高正(53)=仮名=の仮設住宅を、町職員が被害確認に訪れた。幸い、風雨による住宅への被害はない。職員を見送りながら鈴木は思った。「あんな通告をした後だから、役場も気を使っているんだろう」。町からは4月、「仮設での暮らしは5年間は続く」と告げられた。

 行き当たりばったり
 鈴木が入居を希望する復興公営住宅の完成時期が見通せないためだ。「全て行き当たりばったりだから復興の速度が遅い。中間貯蔵施設の議論も同じだ」といら立ちを隠さない。
 東京電力福島第1原発がある同町は、除染で生じる廃棄物や土壌を保管する中間貯蔵施設の建設候補地。同施設に強い拒否感を示していた前町長の辞職に伴う町長選で初当選した伊沢史朗(55)は3月、建設のための現地調査を条件付きで受け入れる考えを示す一方、「調査と建設は違う」とも発言。その後、進展はない。
 ただ、鈴木に将来町に帰る考えはない。「避難者の心情に配慮して『中間』という言葉を使っているが、実質は最終処分場。建設されれば町に帰りたいという人はさらに減るだろう」。原発で働いていた経験があり、事故当初から「放射性物質を拡散させることはできず、原発に近い双葉に集めるしかない」と思っている。「他に選択肢はないはずなのに議論が進まない」

 はっきりした答えを
 最大の要因は「金の問題」と考える。「国が施設建設をめぐり十分な補償を行うと表明すれば進展するが、金額を抑えたい国ははっきり答えない」と指摘し、こうも話す。「国が避難者の移住を認めず、将来的な帰還に固執するのも、その方が出費が少なくて済むからではないか。同じ構図だ」
 そうした冷ややかな見方の一方、割り切れない思いを抱える避難者もいる。同町からいわき市に避難する斉藤宗一(63)は「最終処分場についての方針が示されない限り、施設は受け入れられない」と強調する。
 ただ、自宅は第1原発から北に約3キロ。長期にわたり帰還が困難なことも理解している。「最後は補償で解決するしかないのかもしれない。だが、その判断のための材料さえ、国は示していない」
 帰還の判断と密接に関わる中間貯蔵施設。容認派、反対派を問わず、「国ははっきりした答えを」と望む避難者たちの声は日に日に強まる。(文中敬称略)

(2013年9月22日 福島民友ニュース)



( 2013年9月22日付・福島民友新聞掲載 )
 

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