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原発災害・「復興」の影
炉を廃する
 
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「人員確保」下請け頼み 事故前の“平時”水準賃金も障壁

「人員確保」下請け頼み 事故前の“平時”水準賃金も障壁

福島第1原発構内の排水溝で、放射性物質測定のための汚染水採取に当たる作業員ら。長く続く廃炉作業では、作業員の確保が課題となる=19日(東京電力提供)

 「協力してもらえるだろうか」。10月半ば、東京電力福島第1原発での作業に加わる協力企業に所属する高野喜雄(45)=仮名=に元請け企業から電話があった。タンクに貯蔵された汚染水をめぐる緊急作業に加わってほしいと言う。高野はすぐ、現場に向かえる作業員に連絡を取った。
 第1原発に長年関わってきた同社は今、汚染水処理に関する配管敷設などさまざまな仕事を担当、昼夜を問わず緊急の連絡を受けて現場に向かうことも多い。高野は「原発に世話になってきたわれわれがやらないといけない」と話す。
 使命感を胸に作業に当たる同社は今、人員不足という問題に直面している。同社は、下請けの協力企業の作業員を含め、毎日多くの人員を第1原発に送り込んでいる。作業員の確保は同社の責任で行わなければならないが、「事故前より作業環境が悪い現場なので、(下請けの)協力会社の作業員を集めるのが難しくなってきている」と高野は明かす。
 
 総務社員派遣も検討
 人員不足を補うため、同社は総務部の社員を新たに現場に向かわせることも検討している。同社長の藤村洋平(57)=仮名=は言う。「われわれは事故対応に少しでも貢献したいという思いでいる。東電、協力企業を問わず働く人を鼓舞するような環境整備を、国の責任で進めてほしい」
 作業員確保は、同社など協力企業が担っているのが実態だが、年間被ばく線量の上限を超えた作業員は働くことができない。防護服にマスクが欠かせない現場であっても、作業員の賃金は事故前の「平時」の水準とそれほど変わらないという現実も人集めの壁となる。
 
 事故前の手法に限界
 国内の原発の現場で取られている、幾重にもなった構造の請負体制に詳しい元日本原子力発電理事の北村俊郎(68)=富岡町から須賀川市に避難=は「現在、作業員集めは下請けに頼るという事故前の手法を踏襲しているが、今は作業員の被ばく量も多く、経験や技術力のある作業員の確保は次第に困難になっていくだろう」と指摘する。
 その上で現状の改善のため、政府の関与が必要だと訴える。「廃炉作業、汚染水対策で国が前面に出る―と言うのなら、各原発に常駐する作業員を順番に福島第1原発に向かわせるなどの対策や、作業員の募集、処遇、育成について新たな手法を東電に要請することなどを検討するべきだ」(文中敬称略)

(2013年10月29日 福島民友ニュース)



( 2013年10月29日付・福島民友新聞掲載 )
 

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