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収束作業“決死の覚悟” 批判受け職員の「士気低下」心配
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福島第1原発の排気筒が見える双葉町や大熊町には、東電社員や家族も多数住んでいた(写真と本文は関係ありません)
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「息子は福島のために働いている。賠償金をもらいながら文句ばかり言ってる人間が何を考えてるんだ」。大熊町から郡山市に避難する宍戸隆(62)=仮名=は、9月15日付の福島民友新聞の連載記事を読んで、憤りを抑え切れなかった。「息子が勤務し、廃炉作業に当たっている東京電力の社員らが記事を読んだらやる気をなくしてしまわないか」
記事には、大熊町のある地区の懇親会で、東電社員の息子を持つ男性が「息子が外国製の高級バイクを買ったと自慢したところ、同席の男性に殴り掛かられた」と書いてあった。殴り掛かられた男性は「東京都に避難する」とあり、名前は出ていないが、「自分のことを書いている」と思った。実際のところ、自分は東京に行っていないし、息子は大型バイクの免許を持っていない。バイクを買ったのは宍戸自身。息子と離れて暮らす孫たちの気晴らしになればと、サイドカー付きの国産バイクを中古で買ったことは確かに懇親会で話した。ただ、殴られたのは別の話をしている時だった。
事故後、給料も下がる
殴られた後、けがで1週間ほど食事ができない状態だったが、見ていた人は少なかった。「東電がらみで殴られたという方が面白いと思ったのだろう」と推測した。
「息子は決死の覚悟で事故直後の福島第1原発の収束作業に向かった」。記事を読んで真っ先に浮かんだのは、収束作業のため同原発に向かうために頭を丸めたという息子の姿と、野放しになった牛の通り道となり、糞(ふん)だらけとなった自宅の庭の光景だった。「息子たちは事故後、給料も下がっている。東電にだって被災者やその家族はいるはずなのに、ひたすら悪者扱いされている」
発言影響は否定せず
廃炉工程表によると、廃炉までの期間は30〜40年。ただ原子炉で溶け落ちた核燃料の状態は分かっておらず、廃炉の行く末はまだ見えていない。
事故以降、東電が事故の当事者、あるいはミスの多い廃炉事業者として、被災者をはじめ国内外から批判を受け続けていることで職員の士気が低下し、作業への影響を懸念する声もある。これに対し、福島第1原発所長の小野明(54)は「火力発電所から志願して福島に来ている人もいる。仲間意識もある」と職員の士気の高さを強調しながらも、こう明かす。「(ミスを厳しく指摘する)発言に接してしゅんとしてしまう職員がいるのも事実だ」(文中敬称略)
(2013年10月30日 福島民友ニュース)
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( 2013年10月30日付・福島民友新聞掲載 )
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