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「東電に廃炉は無理」 事故後も続く多層的な“請負構造”
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福島原発行動隊の集会で発言する塩谷理事長代行。「廃炉作業の現体制の弊害は明らか」と指摘する=10月24日、東京・参院議員会館
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「新技術のアイデアがあってもコスト意識がブレーキをかける」「東電には廃炉は無理だ」。10月24日昼、参院議員会館(東京)の一室。東京電力福島第1原発の廃炉作業をめぐり、さまざまな分野の技術者OBでつくる「福島原発行動隊」のメンバーが国会議員も交え、議論を繰り広げていた。
同団体は2011(平成23)年4月に発足。若い作業員の被ばく軽減のためには自分たちを第1原発の作業に参加させるようにと求め、定期的に東電と情報交換の場を持っている。
緊急対応には不向き
理事長代行の塩谷亘弘(75)は「今の廃炉作業の体制の弊害は明白。国が新しく作業の実施主体をつくるべきだ」と言う。特に問題視するのは、東電を頂点とし、メーカーや下請けの協力企業が連なる多層的な請負構造の中で、事故対応が行われているという現状だ。
「東電は現場で2次、3次下請けの作業員に直接指示することはできない。計画が変更されればその都度、協力企業の責任者を通じて指示をし直す必要がある」と指摘し、こう続ける。「事故前ならよかったかもしれないが、状況に応じた緊急対応が求められる今の現場には不向きな体制だ」
その弊害について東電自らが言及する報告書が同15日、原子力規制委員会に提出された。「当社と協力企業間でのコミュニケーションが不足していた」。報告書には、仮設タンクからの水漏れが東電社員と協力企業担当者との認識のずれから生じた経緯が詳細に記されていた。「東電も認めざるを得なかったのだろう」。塩谷は報告書から、行き詰まり感を感じ取った。
原発の定期検査の際など、必要に応じて人員を確保できる利点があった多層請負構造。だが事故後、現場の環境は一変している。第1原発で働く木原弘信(56)=仮名=は「東電は、国から指示された汚染水のタンクの見回りでさえ下請け頼みだ」と指摘する。
国は実態調べるべき
「作業ご苦労さまです」。事故があった年は、そう言って東電幹部が作業員に頭を下げる光景を見たが、現在は会釈程度。官僚的な冷たさも感じる。「やはり『横綱』」。東電を頂点とした構造が、事故後再び強固に構築されたと実感する。
木原は言う。「現状では原発特有のピンハネもし放題。病院でCT画像を撮るように、国は下請け構造の実態を調べるべきだ」
作業体制はこれで良いのか。事故から2年7カ月以上たち、そんな意見が強まりつつある。(文中敬称略)
(2013年11月1日 福島民友ニュース)
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( 2013年11月1日付・福島民友新聞掲載 )
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