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「東電の解体が必要」 政治決断で“新たな体制”を求める
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「会社の成長戦略が見いだせれば、廃炉作業に当たる東電社員の士気も上がる」と話す橘川教授=10月22日、東京・一橋大国立キャンパス
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「政治家も役所も汚染水問題が東京電力の手に余ることは相当前から分かっていたが、『悪者東電』を批判の矢面に立たせたいために、前面に出なかった。その姿勢が対応の遅れを招いた」。日本経営史、エネルギー産業論が専門で、電力会社の経営を長年研究対象としている一橋大大学院教授の橘川武郎(62)は、福島第1原発の廃炉・汚染水対策をめぐり政府が事故以降、本腰を入れてこなかった実態を批判する。
未来見えず士気低下
頻発する汚染水漏えいで、現場の東電社員の士気を不安視する意見は強まった。「昨年と比べても明らかにやる気が落ちている。会社の未来が見えないからだろう」。東電の社員と話すことも多い橘川は最近、そんな印象を受けるという。
長く続く廃炉を担うのが「今の東電」でよいのか―。橘川は「成長していける会社に生まれ変われば廃炉現場の社員の意欲も持続する」とし、「事実上の東電解体」(橘川)とも言える大胆な経営体制の刷新が必要だと提言する。
再稼働が困難な原発など発電事業を他の電力会社に売却し、大幅なリストラを経て送配電会社として再出発するべきだ―と。「東電の競争力の源は首都圏に張り巡らされた送配電網。発電を手放しても成長戦略が見いだせる。利益から賠償を行った上でボーナスも出せる」
限界がある民間企業
一方、そもそも民間企業が廃炉を担うことの限界を指摘する意見も根強い。政策研究大学院大教授で、行政法や「法と経済学」が専門の福井秀夫は「廃炉は金がかかるだけでそれ自体は利益を生まない。収益を生むことを前提としている企業に委ねるのは無理がある」と力説する。
東電は法的整理し、事業を引き継いだ「新生東電」が電力の安定供給に注力する一方、廃炉は国の責任で民間などから専門家集団を雇用した上で、実務を進めていくべきとの考えだ。「利益の中からほそぼそと廃炉に取り組むというのは、企業の再生を阻み、(株主や債権者など)ステークホルダー(利害関係者)を利して国民負担を増やすだけだ」
政府もようやく、実施主体を東電本体から切り離す「分社化」案など、廃炉を担う新たな枠組みの検討を始めようとしている。事故から2年7カ月たった今、橘川は政治に決断を求める。「もう、廃炉を進める体制をはっきりさせるべき時だ」(文中敬称略)
(2013年11月2日 福島民友ニュース)
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( 2013年11月2日付・福島民友新聞掲載 )
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