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強まる廃炉部門の「分離案」 見え隠れする“東電の思惑”
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東電の株主総会の会場前。株主や金融機関がどれだけ責任を負うのかで、国費投入による国民負担の重さは変わる=6月、東京都
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「東京電力は、外向きの発言はどうであれ、本心では事故処理を(別の組織に)やってもらって、電力供給だけでやっていける体制になってくれれば一番ありがたいと思っているのではないか」。福島第1原発の汚染水問題の深刻化で、政界では東電の廃炉部門を分離しようという議論が本格化している。事故直後、首相補佐官として事故の収束対応に当たった民主党の衆院議員馬淵澄夫(53)は、議論に対する東電の思惑をこう推測する。
東電がうやむやに
馬淵は東電の言葉を信用していない。馬淵が補佐官当時、事故直後から懸案だった汚染水問題への策として、東電に対し遮水壁を設けて原子炉建屋への地下水流入を止めるよう求めたことがあった。遮水壁は計画実施段階まで進んだが、馬淵の補佐官解任後、東電によってうやむやにされた。
馬淵は10月に出演したテレビの報道番組で自民党政調会長代理塩崎恭久(62)や東電副社長の相沢善吾(61)と同席した。馬淵の隣にいた塩崎が東電廃炉部門の分社化を提言したが、相沢は「(電力の)安定供給と廃炉は一体感を持ってやっていきたい」と、遠回しに拒絶した。だが馬淵は思った。「(東電は)勘弁してくださいと言いながら、実はしめしめと思っている。それに乗っかっては駄目だ」一方、塩崎は分社化提案の理由をこう語る。「(国が)廃炉庁をつくると言っては、東電が逃げてしまう。税金を投入する以上、責任を明確にする必要がある」
「見直し議論 不可欠」
塩崎の分社化案に対し、国などが入った「廃炉機構」の創設を提唱する馬淵は、単なる東電救済策にしないため、法的整理を含めた組織見直しの議論が不可欠とする。「株主や銀行の貸し手責任を問わなければ、国民負担がそれだけ増える」
自民党の党内組織は10月末、東電の廃炉部門の社内分社化や完全分社化、独立行政法人化の検討を提言。東電はこれを受ける形で、廃炉部門の社内分社化の検討をスタート。そこには会社にとって最も有利な体制を先取りして示したいとの狙いが見え隠れする。
「国は政権が変われば言うことも変わる。東電がしっかりしていてくれないと、(賠償などは)大丈夫かと不安になる」。富岡町から郡山市に避難する北崎一六(66)は政界の議論に不安を感じている。「避難者の住居や、中間貯蔵のことも決まっていない今、東電の解体が議論になるのはいかがなものか」(文中敬称略)
(2013年11月4日 福島民友ニュース)
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( 2013年11月4日付・福島民友新聞掲載 )
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