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原発災害・「復興」の影
貯蔵する
 
【 3 】
“賛成”“反対”揺れる町 楢葉住民「判断する情報少ない」

除去土壌などが入った黒い袋が仮置き場を埋め、搬出の時を待つ=楢葉町

 大熊、双葉両町とともに中間貯蔵施設の調査地に挙がる楢葉町。大熊、双葉には福島第1原発が立地して町の大半が帰還困難区域に設定され、施設受け入れ容認の雰囲気があるのに比べ、町のほとんどが避難指示解除準備区域の楢葉町は帰還への期待が両町に比べて高い。その分、施設に対する考えの対立が表面化、受け入れを「しょうがない」とする立場と、反対する住民との間で感情面の対立にまで発展している。

 復興つながるなら
 「事前調査を受け入れただけ。何でそんなうわさが立つんだ」。施設の事前調査が行われた同町波倉の区長大和田正博(59)は、他地区の町民から波倉の住民が「国から金をもらっているんだろう」と責められたと知り、ぶぜんとした。
 福島第2原発がある波倉地区は54軒のうち24軒が津波で流された。地質調査では施設に適する可能性があるとされた。大和田は「施設が建設されれば周辺整備も進むだろう。復興や雇用につながるなら受け入れてもいい」との立場だ。施設建設は大規模な公共事業で、付属施設も構想され、短期長期の雇用や経済効果を期待する声がある。「先祖代々の土地を手放すことになるが、経済が動かないと町に誰も戻ってこない」

 政争に冷めた視線
 一方、施設受け入れ反対派の町議結城政重(66)ら町民有志でつくる団体は、住民投票を行うため町に条例案提出を求める直接請求の署名活動を行っている。調査地から遠くない同町井出の石坂晋志(67)は署名活動に理解を示す一人だ。「中間貯蔵ができて、みんな帰るのか疑問」と理由を語り、こう付け加えた。「安全かどうか分からない。地権者はお金がもらえるが、周辺住民にはお金は入らない」
 施設受け入れをめぐる対立は町長の松本幸英(52)派と、松本と昨年4月の町長選を戦った結城派との対立にすぎないとみる向きもある。松本は自身と結城派の対立の側面があることを認め、「ちょっと揺さぶってやろうということだろう」と推測する。
 ただ、多くの町民は施設が政争の具となることを冷めた目で見ている。会津美里町に避難する渡辺敏正(45)は「造る、造らないを判断するだけの情報がないのに賛成、反対では現実味がない」と話す。「場所や中身が分かってから、ようやく賛成とか反対とかになるはずだ」(文中敬称略)

(2013年12月1日 福島民友ニュース)



( 2013年12月1日付・福島民友新聞掲載 )
 

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