minyu-net

ホーム 県内ニュース スポーツ 連載 社説 イベント 観光 グルメ 健康・医療 購読申込  
  >>>  原発災害・「復興」の影TOP
原発災害・「復興」の影
貯蔵する
 
【 7 】
「廃棄物の処分場」足りない説明 不透明な“富岡の安全”

「廃棄物の処分場」足りない説明 不透明な“富岡の安全”

国が富岡町で管理型処分場に予定している民間企業の産業廃棄物最終処分場。現在、搬入口の門は閉められている

 「どうして分けて設置するのか」。富岡町から三春町に避難する松本政喜(66)はどうしても疑問が消えない。国の方針では、同町には放射性物質を含む廃棄物の管理型処分場が造られる。中間貯蔵施設も方針通りに造られれば「富岡は北も南も廃棄物に囲まれる」。
 双葉郡の一部が国有化され、貯蔵施設や処分場にならざるを得ない国の方針は理解できるが、「なぜ1カ所に集約しないのか」が分からない。「帰還困難区域ならまだしも、避難指示解除準備区域や居住制限区域が中心の町に施設を造るのは帰還の妨げでしかない」新聞報道で知った国の処分場や貯蔵施設の国有化方針だが、町が「寝耳に水」とするのもどうかと思う。「町が『何も聞かされていない』では、よりどころがない」と松本は心配する。

 「はっきり言って」
 「遅れているなら遅れているとはっきり言ってくれた方が、まだ信用できる」。同町生活環境課長の緑川富男(59)も国の対応は不満だ。帰還への動きや除染は時期だけ示して動きが鈍い。除染完了時期は来年3月だったが遅れに遅れた揚げ句、9月になって事業延長を発表した。処分場の問題も同じだと考えている。
 環境副大臣の井上信治(44)が仮役場を訪れ、9月末に処分場の具体案を示すと言ったのは8月だった。民間の施設を使う予定で、搬入量も約70万トンと想定できているはずだが、案は12月になっても示されない。

 計画の停滞…認める
 環境省指定廃棄物対策チームの山崎寿之(38)は「中間貯蔵施設の調査が終われば、処分場の説明も始められるのだが」と、計画の動きが止まっていることを認める。処分場に搬入する廃棄物は10万ベクレル以下。焼却による減容化で10万ベクレルを超えた廃棄物は貯蔵施設に搬入するため、処分場と貯蔵施設の整備は分けて考えられないというのが同省の立場だ。貯蔵施設と処分場に関わる4町との交渉を並行して進めることで、各町の受け入れをめぐる判断が分かれて拒絶する方針に傾く町が出るのを避ける狙いもある。
 緑川にとって国の姿勢は処分場を受け入れる上で最大の懸念材料の一つだ。見通しが不透明とはいえ中間貯蔵施設は、30年後には県外搬出という終点が設けられている。しかし、処分場は半永久的に廃棄物の保管が続くだけに、国の態度がどうしても気になる。「安全や管理が重要。ただ金を出せばいいという話ではない」(文中敬称略)

(2013年12月5日 福島民友ニュース)



( 2013年12月5日付・福島民友新聞掲載 )
 

福島民友新聞 購読ご案内

ご購読のお申込

会社案内
会社概要|▶支社・支局のご案内|▶窓の投稿
広告局のページ|▶福島民友愛の事業団
社内見学|▶移動編集局|▶民友メールアドレス

 民友携帯サイト
   みんゆう愛モード

右のコードを読み取り、表示されたURLでアクセスできます。

QRコード



福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN