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本県を“盾”にする環境省 「福島で廃棄物処分を」声受け

本県を“盾”にする環境省 「福島で廃棄物処分を」声受け

環境省が県外廃棄物の搬入について県に照会した文書。同省は回答を基に「福島県が搬入を拒否している」と文書を作り、会議で配布した

 「指定廃棄物は福島に持っていけばいい」。福島第1原発事故による、1キロ当たり8000ベクレル超の放射性物質を含む指定廃棄物について、国は各県で処理する方針を示している。茨城県高萩市で、同市への処分場設置に反対してきた鈴木直登(66)は、共に活動する仲間の茶飲み話を何とも言えない思いで聞いた。
 鈴木が処分場の設置に反対したのは環境省が示した候補地の国有林が水源地に近いのを危惧したからだ。福島第1原発のある大熊町には友人もいる。放射性物質が不検出の福島県の廃棄物まで他県から搬入を拒否されたと聞いた時、胸が痛んだ。だから「福島に持っていけと自分は言えない」。

 受け入れたくない
 鈴木らは候補地の白紙撤回を求め集会や署名活動を展開、環境省は候補地選定を見直す方針を示したが、茨城県に1カ所設けるとされた処分場の場所は、まだ決まらないままだ。「古里に処分場なんて誰も受け入れたくはない。双葉の人たちも同じはず」。考えた末、鈴木は11月、各市町村でそれぞれ指定廃棄物を保管する案を同省に提案した。
 「県外の指定廃棄物を福島県に集約して処分すべきとの意見について、見解を改めて確認したい」。環境省から6月17日、県庁に1通の書面が届いた。指定廃棄物の処理をめぐる他県の市町村長会議で、首長らから上がった「福島で処分を」との意見を受け、県の意向を問い合わせる文書だ。

 住民や行政を翻弄
 文書には「改めて確認」とあるから、同省は県の意向を分かっている。県は当然、搬入拒否と回答。同省は県の回答を基に、指定廃棄物の搬入を「福島県が拒否している」との文書を作成した。同省は「各県の会議で『福島県に』との意見があったので照会した」とするが、本県にあらためて搬入拒否と言わせることで本県を盾にした形だ。「指定廃棄物は各県で処理」との方針を掲げたはずの国が時折見せるあいまいさや、ぶれが本県や周辺各県の住民や行政を翻弄(ほんろう)している。
 「自分も他県にいたら、福島に持っていけと思うかもしれない」。国が指定廃棄物の処分場整備を計画している富岡町から大玉村に避難する建設業鎌田光利(58)は明かし、こう付け加えた。「国はこれから(処分場の設置に向け)形式的な住民説明会を開いて、住民の理解を得たとのアリバイをつくるだけ。このままでは受け入れられるものも、受け付けなくなる」(文中敬称略)

(2013年12月6日 福島民友ニュース)



( 2013年12月6日付・福島民友新聞掲載 )
 

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