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課題山積の「土壌搬入」 環境省はあいまいな姿勢崩さず
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通学路の県道は震災後、復旧や除染作業など浜通りに向かう車で通行量が急増した=川俣町飯坂
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「震災前はここまで交通量は多くなかった」。川俣町飯坂で理容店を営む斎藤義史(39)は店舗・自宅前を行き交う大型車両を見ながら言う。浜通りと中通りとを結ぶ県道原町川俣線に近く、震災、原発事故の後、毎日朝夕と復旧作業の車両が列をつくる。「中間貯蔵施設ができたらどうなるのか」
渋滞や事故が心配
中間貯蔵施設が調査中の大熊、双葉、楢葉3町に設置された場合、1600万〜2200万トンの土壌などが施設に運び込まれる。2000台の10トントラックが施設へ1日2回搬入しても3年程度かかるとの試算もある。大量の除去土壌を抱える中通りから、浜通りへと向かう主要道路の多くは狭く、カーブも多い。トラックが連なれば渋滞は必至だ。
環境省は同施設の安全面を検討する有識者会議で、施設への搬入想定ルートを示した。同省は生活圏や通学路などを避け、大型トラックが走れる幹線を中心に選んだとするが、斎藤家の前の県道を含め、中通りと浜通りを結ぶ主要道路の多くがルートとなった。
斎藤には小学生の息子が2人いる。家の近くの県道は2人が塾に通う際にも必ず通る。そこを、放射性物質を含んだ土を運ぶトラックが走る。健康被害や事故の恐れはないのか。「説明なしに家の前を土壌を積んだ車が通るのはなしにしてほしい」
安全の保証が必要
須賀川市の産業廃棄物処理会社社長矢部忠(50)は、同市の震災がれきの収集運搬を請け負ったことがあり、貯蔵施設への土壌搬入もいずれ、することになると考えているが、「実際のところ、どうしていいのか分からない」と明かす。
放射性物質を扱う搬入の仕事は、経営者としてどうしても慎重になる。福島第1原発から60キロ離れた須賀川市のがれきを運んだトラックからも放射性物質は検出された。仮に除去土壌を運んだトラックとなれば、ほかの仕事には使えない。「搬入を請け負うなら、最初から何年間かかけて(トラックなどの費用を)回収できるようにしてもらう必要がある」。運転手の健康管理も除染作業員と同じにしてほしい。「安全の保証なしに仕事はできない」
環境省は搬入の問題を「重要な課題」と認めながらも、明確な対策を示していない。同省担当者は「設置が決まっておらず、搬入に関することだけ先に決められない」と、あいまいとも取れる姿勢を崩さない。(文中敬称略)
(2013年12月7日 福島民友ニュース)
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( 2013年12月7日付・福島民友新聞掲載 )
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