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原発災害・「復興」の影
自ら逃れる
 
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放射線不安に“温度差” 避難者受け入れ側の「沖縄」苦慮

放射線不安に“温度差” 避難者受け入れ側の「沖縄」苦慮

那覇市銘苅学校給食センターで、食材の産地を示した書面をチェックする栄養士。自主避難者らの求めに応じ、産地公表を始めた

 「給食食材について沖縄の人はそれほどこだわっていないと思うが、放射能を気にせざるを得ないのは避難者の声が強いためだ」。沖縄県学校給食会常務理事の屋嘉比(やかび)守(60)は、学校給食をめぐる同県民と避難者の温度差を明かす。

 避難者、西日本で最多
 原発事故後、沖縄に移った本県の自主避難者と強制避難者は西日本で最多の678人(昨年12月12日現在)。関東地方などから自主避難した人も多い。「事故後しばらく、『沖縄に避難したいが、福島産米を使っているようだ。大丈夫なのか』といった電話が相次いだ。多くは福島県以外の人だった」。沖縄は本県産米の全国有数の消費地で、給食も原発事故以前は2割が本県産米だった。2012(平成24)年度以降は使っていない。
 自主避難者が多く住む那覇市新都心地区にある銘苅(めかる)学校給食センター。自主避難者が中心のグループの求めに応じ毎月、食材の産地を公表している。副所長の高江洲(たかえす)司(50)は「当初、福島など東日本17都県の食材の使用禁止なども要請されたが、それでは食材をそろえられない。実際はコメ以外は今も使う」と言う。横浜市から沖縄県与那原(よなばる)町に避難し、那覇市教育委員会に公表を求めたグループの代表を務めた龍野愛(40)は「食材の中の放射能を不安に思う母親が多かった。母親の安心のために必要だった」と語る。

 青森からの雪に苦情
 放射線をめぐる温度差が表面化したことがあった。12年2月、那覇市の児童館広場で、青森県から運ばれた雪を使って行われる予定だった行事が「雪に含まれる放射能が心配」との声で中止になった。苦情を受け市が開いた説明会の出席者は、大半が自主避難者だったという。
 この時、予定通り行事を実施した同市の「はぐくみ児童クラブ」で三線(さんしん)を指導する当間栄助(57)は、「ウチナーンチュ(沖縄の人)は避難者に同情的だが、避難者が放射能への不安を強調すればするほど『避難者こそ放射能を運んできたのでは』との反感が生じる。避難者は自ら、沖縄で暮らしにくくしている」と残念そうな表情をみせる。
 「関東地方などからの避難者は放射能に敏感すぎると感じる。全ての自主避難者が(放射能への不安をめぐって)声を上げているわけではない」。郡山市から那覇市に避難する長沼重信(53)は戸惑いとともに、こう意見する。「自主避難者をひとくくりに考えないでほしい」(文中敬称略)

(2014年1月4日 福島民友ニュース)



( 2014年1月4日付・福島民友新聞掲載 )
 

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