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原発災害・「復興」の影
自ら逃れる
 
【 8 】
遅れた県内住宅支援 国と対立、県”見切り発車”支援強行

遅れた県内住宅支援 国と対立、県”見切り発車”支援強行

要望した支援拡充に関して県担当者から回答を受け取る酒井代表(右)=2012年12月、会津若松市

 原発事故に伴う自主避難で、避難当初から住宅支援があった県外への避難者に対し、県内への避難者に対する住宅支援が始まったのは2012(平成24)年11月だった。県が事故当初、避難指示区域の住民の住宅確保に忙殺され、県内自主避難者まで手が回らなかったためだ。
 「費用を東京電力に直接請求してはどうか」。同年8月、東京・霞が関。災害救助法を担当する厚生労働省が、県内自主避難者への支援も県外と同等にと主張する県に求めた。

 回収見込み薄い支出
 原発事故避難者の住宅支援費用は同法に基づき国が立て替えるが、最終的には事故を起こした東電に支払いを求める。ただ、東電がどこまで支払いに応じるかは不透明で、国が新たな支援を始めれば、回収見込みの薄い支出が増える。このため同省は、住宅支援の費用は県が立て替えて東電に請求すべきで同法適用は避けたいという考えだった。
 「県外自主避難者に災害救助法が適用されている。県内分も適用は当然」と、県避難者支援課主幹の原田浩幸(51)は県の立場を説明する。県内自主避難者の住宅支援には年間数億円が必要で、同法による交付金が頼みだった。
 厚労省と県の交渉は平行線のまま同年11月を迎えた。業を煮やした県は、県内自主避難者への住宅支援実施を決め、同省と復興庁に報告。ともに了解は得られなかったが、県は「明確に『だめ』と言われていない」として支援を強行した。県はこの時以降、あえて住宅支援の可否を国に確認していない。もし確認すれば「明確に『だめ』」となる可能性があるためだ。

 「県外に比べ影薄い」
 県の判断は、同省が県内自主避難者分を同法適用外と確定すれば、国から県への交付金のうち借り上げ費用分の返還を迫られる可能性があった。県はそれを知りつつ支援を強行した。「県内自主避難者は事故当初から自力で家賃を支払っていた。もう長引かせることはできなかった」と原田。
 同省から被災者支援業務を引き継いだ内閣府は県内自主避難者の支援について「県と協議中」として、交付金返還を求めるかどうかを明らかにしていない。県の強行策の成否は見えない。
 県内自主避難者団体の代表酒井信裕(34)は「要望を続け、ようやく実現した支援だった。しかし、住宅不足で割高な家に住んだ世帯が家賃超過で支援対象から外れ、不満も残った」と明かす。「数の多い県外の自主避難者に比べ、どうも県内避難者の影は薄い。これ以上の支援は見込めない気がする」(文中敬称略)

(2014年1月10日 福島民友ニュース)



( 2014年1月10日付・福島民友新聞掲載 )
 

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