>>> 原発災害・「復興」の影TOP
|
|
除染後、元に戻る放射線量 再度の除染作業、具体化せず
|
森林の落ち葉を集める作業員。道路から周囲20メートルの範囲だけを除染している=浪江町
|
「手抜きが問題だというなら、今やっている除染作業自体が手抜き。瓦を拭いて、草をむしってなんて、掃除のようなもの」。浜通りで除染の仕事をする建設会社の社長(49)は吐き捨てる。「国の除染の進め方がどうにも下手でしょうがない。放射線量を下げる気があるのか」
明確な数値基準なし
この社長は地元企業数社と、国直轄除染を受注した大手ゼネコンの1次下請け企業として、大熊町を担当する。「今の除染は明確な数値の基準はなく、上(大手ゼネコン)から言われた作業をするだけ。放射線量が下がるかどうかは、下請けには関係ないことになっている」と明かす。
経営する会社が担当した同町の道路除染では、道の周囲20メートルの範囲で表土を削り、枯れ葉を取り除いた。一時的に線量は下がったが、1週間後には、そばにある樹木の枯れ葉が削った場所を覆い「線量も元に戻った」。一度除染しているため、この場所は除染済みの場所として環境省に報告されているという。
「住宅は別な形でやっかい」と続ける。道路は公共物のため、国や県、町の同意を得れば済むが、住宅は所有者の同意が必要となる。「賠償も進んでいないのに除染に同意できるか」と声を荒らげる住民も少なくない。
国直轄の除染を完了した田村市都路地区で昨年6月に開かれた住民説明会。除染後も一部地域が長期目標となる年間追加被ばく線量1ミリシーベルトを上回ることから、住民が再除染を求めた。だが、環境省の担当者は「まずは、様子を見させてほしい」と言うにとどまった。
限界ある現在の手法
環境省が再除染を打ち出したのは、それから2カ月後の8月。環境副大臣の井上信治(44)が、知事の佐藤雄平(66)に方針を伝えた。その後、同省は9月、大幅に遅れていた国直轄の除染計画の見直しを発表。除染完了時期の先延ばしと引き換えに、住民から要望があった再除染を認めざるを得なくなった形だが、いまだに具体化はされていない。
「線量を下げるのが難しいのは分かっている」。本宮市に避難する浪江町の大倉満(63)は、原発周辺地域で今の除染方法では限界があると感じている。震災からあと約1カ月で丸3年。双葉郡内は部分的な除染にとどまり、帰還できる時期は見通せない。「自宅にすぐに住めなくても、せめて墓参りぐらい安心して行かせてくれ」。大倉は憤りを抑えながらつぶやいた。
(文中敬称略)
(2014年2月1日 福島民友ニュース)
|
( 2014年2月1日付・福島民友新聞掲載 )
|
|
|
民友携帯サイト
右のコードを読み取り、表示されたURLでアクセスできます。
|
|
|
|