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原発災害・「復興」の影
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“怪しい”売り込み次々 企業から除染技術提案100件以上

“怪しい”売り込み次々 企業から除染技術提案100件以上

土をかぶせれば放射線を遮蔽する効果は生まれるが、放射性物質を減らすことにはならない

 「微生物とかパウダーとか、裏付けのないものがいっぱいある」。飯舘村復興対策課長の中川喜昭(55)は原発事故後、放射性物質除去や線量低下に効果があるという企業からの技術提案にうんざりしていた。その数100件以上。「実用化できそうなものは、ほとんどなかった」

 「ひと山当てる気か」
 村が計画的避難区域に設定され、福島市飯野町に役場機能を移した2011(平成23)年6月以降、「特殊なバクテリアがセシウムを分解する」「貝殻を粉末にしたパウダーを土に振り掛けるだけで効果がある」などと、首都圏や関西の企業が中川のもとに売り込みにきた。有名な大学教授や政治家の名前を出して「効果は実験済み」などと説明してきたという。
 12年夏ごろ、東北地方の企業が「化学変化させた水をまけば線量が下がる」という技術を村に持ち込んだ。
 協力する村民もいたので、実際に実験した。空間線量は低減したが、水が放射線を遮蔽(しゃへい)する効果を持つことを知っていた中川は「一時的に下がるのは当たり前」と思った。「水を掛けるとセシウムはどうなるのか」と聞くと、担当者は言葉に詰まった。結局、水が乾くと線量は戻ったという。「特別な水と言って、ひと山当てようと思ってきたのかな」と中川は推測した。

 遮蔽効果を取り違え
 内閣府と環境省が震災後、除染技術を募集すると、全国の企業などから11〜13年度募集に計909件の応募があった。「科学では証明できないが線量は下がる」という提案も中にはあったと環境省の担当者は漏らす。放射性物質を減らすのではなく、水や粉そのものに希釈や放射線の遮蔽効果があることと取り違えている内容もあった。
 環境省は「新しい原理を解明していたら、福島の除染に間に合わない」として科学的根拠が明らかではない技術は選んでいない。実際に採用したのは73件。超高圧洗浄、セシウムが付着した泥水を土と水に分離する装置など、建設現場で確立した既存の技術を応用したものばかりだ。
 「水をまいてセシウムが消えるならノーベル賞ものだ」。飯舘村から福島市に避難、早期帰還を望む花井勝義(67)は言う。自宅は12年8月、モデル除染が行われ、周辺の土は毎時4.8マイクロシーベルトから同0.8マイクロシーベルトに下がった。表土を削る以外に効果的な除染はないと思っている。「効果がない怪しい技術はいらない。今の方法で確実に線量を下げてくれればいい」(文中敬称略)

(2014年2月6日 福島民友ニュース)



( 2014年2月6日付・福島民友新聞掲載 )
 

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