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原発災害・「復興」の影
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【 10 】
除染と自らの健康守る知識必要 放射線教育の充実急務

>除染と自らの健康守る知識必要 放射線教育の充実急務

相馬市で行われている放射線をテーマにした授業。講師の上さん(右)は「一人一人の状況に応じた説明が効果的」と話す

 「水道水の放射性物質濃度を測って公表している。測定結果はいずれも検出限界値未満だが、少なくない市民が(水道水ではない)水を買って飲んでいる。これでは相馬の魚を買ってくれと言っても、説得力がない」
 福島市で1月に開かれた県防災会議分科会。相馬市長の立谷秀清(62)が放射性物質対策の難しさを説き、訴えた。「自己判断で避難する人もいれば、とどまる人もいる。住民が判断することになるなら、放射線の知識をきちんと伝えることが必要ではないか」

 学年ごとの授業開始
 立谷は原発事故後、除染と、外部被ばく、内部被ばくの管理を総合的に進めることで健康被害の防止を目指してきたが、市民への浸透は不十分との思いがある。
 そこで同市は、中学校で学年別の放射線をテーマとした授業を始めた。講師の一人、東大医科学研究所特任教授の上(かみ)昌広(45)は「生徒一人一人の状況に応じた説明ができるのは効果的」と手応えを話す。
 上は除染をめぐり、空間線量ばかりが議論の的となる現状を「糖尿病の予防を、住民の血糖値の平均で議論しているようなもの」と指摘し「測定地点の線量ではなく、そこに住む住民一人一人がどれだけ被ばくしているかが重要。今の除染の議論では個人個人の健康を守るという本来の目的が軽視されている」と話す。
 県内各地で行われている除染は原発事故から3年近くがたち、作業が本格化してきた。だが、その効果を享受するはずの住民の多くが、除染と自らの健康との関わりを考えるための知識を、必ずしも十分に持ち合わせていないのが現状だ。相馬市以外でも放射線教育の取り組みは徐々に広まりつつあり、県教委も指導者養成に着手しているが、何をどう教えるのかはばらつきがある。

 「自分の問題として」
 「飛行機に乗れば何ミリシーベルト被ばくするといった話では、子どもの心に響かないのでは」。伊達市保原町で2人の子どもを育てる主婦島明美(44)は放射線教育の充実に期待をしながらも注文を付ける。
 「原発事故当時は、放射線量などの数値を言われても分からなかった。子どもたちの健康を守るのには自分で勉強するしかないと思った」と島。学校の放射線教育で必要なのも、子どもが自分自身を守る知識だと島は考えている。「どうして県内の子どもは食べ物に気を付けなければならないのか、なぜ除染が必要なのか。自分の問題として考えられるようにしてほしい」(文中敬称略)=「取り除く」おわり

(2014年2月9日 福島民友ニュース)



( 2014年2月9日付・福島民友新聞掲載 )
 

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