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原発災害・「復興」の影
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検査向上か事故でかの区別困難 がん増加要因特定に壁

検査向上か事故でかの区別困難 がん増加要因特定に壁

国際集会終了後の記者会見。山下副学長(左)は「今見つかっている(甲状腺がんの)数はスクリーニング効果によるものだろう」と述べた=2月23日、東京都

 「福島で甲状腺がんが多く見つかっているのは『スクリーニング効果』のためだろう」。都内で2月に開かれた甲状腺がんと放射線に関する国際集会。原発事故当時18歳以下の県民を対象とした甲状腺検査で、33人が甲状腺がんとされたことに、各国の専門家からそんな指摘が相次いだ。
 スクリーニング効果は、精度の高い集団検査を行っているために、それまで見つからなかったがんが見つかる現象。集会では、チェルノブイリ原発事故と比べて甲状腺がんが見つかる時期が早過ぎることなども指摘され、「放射線の影響でがんが増えているとは考えにくい」と議論をまとめた。福島医大副学長(非常勤)の山下俊一(61)は「専門家間で共通認識を得た」と集会を締めくくった。

 「急ぐ結論を疑問視」
 だが、本県で独自に被ばく評価に取り組む京大原子炉実験所助教の今中哲二(63)は結論を急ぐことを疑問視する。チェルノブイリ原発事故で子どもの甲状腺がんが増え始めたとされる1990年代初頭、権威ある専門家らは「広島、長崎の被爆者と比べて放射線の影響が出るのが早過ぎる。増加はスクリーニング効果のため」と、放射線との因果関係を否定したという。「今、『チェルノブイリと比べて早過ぎる。スクリーニング効果だ』と言うのは、同じ構図でおかしい」

 「区別するのは困難」
 今中は続ける。「汚染された牛乳などが制限されなかった当時より、福島の方が被ばくが少ないのは疑いない。だが、がん増加がスクリーニング効果か、放射線の影響かを区別するのは困難で、分かるのは後のことだ」。2月の国際集会でも「がんの要因の見極めは将来難航する」という意見が上がった。この問題が長く因果関係解明を妨げる壁になるという指摘は多い。
 福島市に避難した浪江町の渡辺広志(67)は「県民健康管理調査は(放射線の影響はないという)結論ありき。行政は事故の影響を小さく見せたいのでは」と話し、疑念が拭えない。最近、中学2年の孫が甲状腺にしこりがあると診断された。因果関係の解明が容易でないとしても、予断を排した調査を強く望む。「放射線影響の解明こそが、調査の目的であるべきだ」
(文中敬称略)

(2014年3月2日 福島民友ニュース)



( 2014年3月2日付・福島民友新聞掲載 )
 

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