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原発災害・「復興」の影
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【 3 】
「放射性ヨウ素」消え推計は困難 初期被ばくの不安が続く

「放射性ヨウ素」消え推計は困難 初期被ばくの不安が続く

県外避難希望者のために用意されたバスに乗り込む飯舘村民。計画的避難はさらに1カ月後だった=2011年3月19日、飯舘村役場

 「当時、一体どれだけの被ばくだったのか」。飯舘村長泥地区の鴫原良友(63)は原発事故発生後約2週間、孫3人と自宅にいた。村全域が計画的避難区域に指定されたのは、事故発生から1カ月以上も後。長泥地区は特に放射線量が高いと分かった。「『健康に影響はない』と言った学者は、将来にわたって責任を持つのか」と不安を語る。
 「(甲状腺の)被ばく量の議論がないまま検査結果だけ出てきても(放射線の影響かは分からず)心配ばかり増えて解決にならない」。県民から甲状腺がんが見つかっていることを受け都内で2月に開かれた国際集会でも、甲状腺の被ばく量調査を求める声が相次いだ。
 
 「個人の線量は不明」
 だが、甲状腺検査を行う福島医大教授の鈴木真一(57)は「個人の正確な(被ばく)線量は知られていない。今はがんの発見率を見ている」と述べるにとどめた。事故直後にいわき市などの子ども約1000人を対象に甲状腺被ばくを測定した結果などを基に線量推計を進める放射線医学総合研究所の担当者も「9割は(高い被ばくはなかったと)推計できたが、一人一人を対象とした線量推計はできていない」と現状を語った。
 
 「県民 安心できない」
 被ばくで増加するとされる甲状腺がんは、甲状腺にたまりやすい放射性ヨウ素が主因とされる。しかし、原発事故で大量放出された放射性のヨウ素131は、放射能が半分になる期間(半減期)が8日間と短く、今は測定すらできない。学習院大理学部教授の村松康行(64)=分析化学=は「1000人よりも多くの子どもの甲状腺被ばくを検査するべきだった」と話しながらも、線量推計につなげようと、既に消えたヨウ素131の土壌濃度分布を、半減期が長く今も残るヨウ素129の測定結果から推定する調査を進める。「高い線量の甲状腺被ばくがあったとは今は想定されていないが、線量が分からなければ県民は安心できない」
 「消えたヨウ素」をめぐり、初期のデータ不足が放射線影響の解明に影を落とす。鴫原は、がんが今見つかっているのは精度の高い集団検査の結果だと受け止めているが、「分からない間、不安は続くんだ」とつぶやいた。(文中敬称略)

(2014年3月3日 福島民友ニュース)



( 2014年3月3日付・福島民友新聞掲載 )
 

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