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原発災害・「復興」の影
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長期化する「ストレス」 疲労や生活習慣病の“危険”高まる

長期化する「ストレス」 疲労や生活習慣病の“危険”高まる

自宅で長女や孫の写真を見つめる岡田さん。離れた生活は間もなく3年になる=福島市

 「自分の家は何マイクロシーベルトとか、誰も話さなくなったなあ」。福島市の団体職員岡田真知子(56)は最近、放射線のことをあまり話題にしなくなったと感じている。事故翌年の2012(平成24)年ごろまでは、町内会などでそれぞれの家の周りの放射線量が話題に上ったものだったが、次第に少なくなった。しかし、岡田は家の空間放射線量が気掛かりなままだ。

 「戻って」と言えない
 幼い孫3人と東京に避難する長女(31)は、事故前まで自宅近くのアパートに住んでいた。孫たちが毎日夕食を食べに来てくれるのが一番の楽しみだった。昨年、自宅の庭木周辺の放射線量を測定すると、毎時0.7マイクロシーベルトほどあった。自宅の除染はまだ終わっていない。「たとえ除染して線量がいくらか下がったとしても、孫たちに戻ってきてと安易には言えない」と岡田はつぶやく。
 やんちゃ盛りの孫たちには、あれこれと振り回されたが、「いいストレス解消になっていたのかもしれない」と今になって感じる。孫のいない暮らしの方が「何だか疲れやすくなった気がする」と話す。
 医師や心理学者からは放射線そのものより、むしろ事故による環境の変化などで生じるストレスが、体をむしばむことを懸念する声が聞こえてくる。たばこや飲酒の量が増え、食生活が偏ると、発がん率が高まり、生活習慣病などになる可能性も出てくるという。

 不安めぐり「二極化」
 原発事故による不安やストレスを調査している福島大共生システム理工学類教授の筒井雄二(49)=実験心理学=は「線量低減とともに不安に思う割合は減っているが、原発事故当時からの不安が全く軽減されずストレスを抱え続ける人もいて、二極化している」と話す。
 チェルノブイリ原発事故の影響を調べるためウクライナを訪れた時、いまだに母親が子どもの健康被害を心配している声を聞いた筒井は、心理的な問題の長期化を憂慮してこう続ける。「行政は除染などを行うことで、住民の不安が全体的に低減されると思うのは間違い。ストレスを抱える人が固定化する恐れがあることを認識して、問題解決に当たるべきだ」(文中敬称略)

(2014年3月9日 福島民友ニュース)



( 2014年3月9日付・福島民友新聞掲載 )
 

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