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原発災害・「復興」の影
風に惑う
 
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“安全の発信”具体的示すこと有効 パフォーマンスは裏目

“安全の発信”具体的示すこと有効 パフォーマンスは裏目

メヒカリを頬張り笑顔を見せる安倍首相(左)。国や県は本県のプラスイメージの発信に躍起だが、効果を疑問視する声もある=3月、いわき市

 いわき市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」。同市を3月に訪れた首相の安倍晋三(59)は、試験操業で採れたメヒカリの空揚げを一口頬張ると、顔を上げて「おいしい」と笑顔を振りまいた。新聞やテレビのカメラマンにとって、“絵になる”一こまだ。
 安倍の前に首相を務めた菅直人(67)、野田佳彦(56)も、県産のキュウリやいわきに水揚げされた遠洋カツオを試食し、舌鼓を打って見せた。原発事故後、カメラに向かい、県産品に舌鼓を打つのはもはや定番の光景だ。農産物のおいしさなどプラスイメージの積極発信は、国や県の風評払拭(ふっしょく)の柱の一つ。安倍の舌鼓もそれに沿っている。

 「不信感を強める」
 東京大総合防災情報研究センター特任准教授の関谷直也(38)=災害情報論=はこうしたPRは「不信感を強めるだけのパフォーマンス」と批判する。「ただただおいしいですよと言っても、県産品を不安に思い、拒否する人は減らない」
 関谷は「放射性物質が不検出ならば問題ないと頭で分かってもらわないと、なんとなく不安感を持つ人は減っていかない」と分析。「流通している県産品は放射性物質が不検出であることや、例えば空間線量が毎時0.1マイクロシーベルトまで下がったという事実を伝えるべきだ」と、根拠のあいまいなプラスイメージの発信より、数値の低下などを具体的に示していくことが風評払拭に有効と強調する。

 実態知ること重要
 本県での被災地学習などを支援するNPO法人で事務局を務める関根文恵(35)も「あえて原発事故を避けたようなPRは風評払拭につながらない。原発、放射線のことを含め全部見てもらうのが一番」との考えだ。高校生の被災地視察などに同行することもある関根は言う。「旅行後には、生徒の福島を見る目は確実に変わっている」
 原発事故の影響をイメージではなく、実態として知ってもらうことが風評払拭につながるとの声は県内で多く聞かれるようになった。原発事故を誘客につなげようとの声もある。県担当者は、事故で人を呼び込むのは「地元の感情もあり、時期尚早」とした上でこう付け加える。「いずれはそういう話は出てくるかもしれない」(文中敬称略)

(2014年4月6日 福島民友ニュース)



( 2014年4月6日付・福島民友新聞掲載 )
 

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