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忍び寄る“薬物の売人” 賠償金狙い仮設住宅に悪質業者
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仮設住宅の薬物乱用防止へ配布されたチラシ。パチンコ店や酒場で売人が話し掛けてくるケースに注意を促している
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「賠償で金は持っている一方で、不自由な生活で夜眠れないなど、悩みを抱えた人も多い。仮設住宅で暮らす避難者は、覚せい剤の売人に狙われている」。安達地区薬物乱用防止指導員協議会長の大藤務(71)は語気を強める。
「気分が良くなる」
20年以上指導員を務める大藤は、悩み多い人を狙い、「気分が良くなる」などとかたりながら近づく薬物の売人の手口を知っている。
薬物の持つ依存性から一度手を染めるとその後も購入してしまう危険性があるため、「『マーケット』として目を付けられている可能性がある」と警戒する。
2012(平成24)年11月、同協議会は二本松、本宮、大玉3市村にある仮設住宅を訪れ、避難者の地元双葉地区の指導員と共に薬物乱用防止の啓発活動を行った。住民に配布したチラシは、パチンコ店や酒場で薬物の売人が言葉巧みに勧誘してくるケースに注意を促す内容で、こうも記載されていた。「薬物乱用は復興の妨げとなります」
大藤が啓発活動に当たった契機は同年9月、県保健福祉部長名で出された1通の文書。仮設に薬物の侵入を予防すべく、協力を呼び掛ける内容だった。いわき市や相馬市などでも、仮設向けに啓発活動が行われた。「狙われているのは避難者の金と心の隙間」。県の担当者はそう話す。賠償金をめぐっては、薬物に限らず、仮設向けの訪問販売への警戒の必要性を指摘する声もある。
しつこい訪問販売
「あんまりしつこいので『今、うちの財布持ってる人が出掛けていていない』って言ってやったの」。二本松市の仮設で暮らす浪江町の瀬賀タケヨ(89)は食品の訪問販売を振り返る。そんな話を聞きながら、仮設の自治会長を務めている息子の範真(のりまさ)(65)は「仮設は高齢者が多い。押し売りなどに気を付けるよう呼び掛けたい」と話す。
適正な業者に紛れ、避難者を狙う悪質な業者の存在が懸念されている。
本年度も仮設での薬物防止の啓発活動を実施したいと考える大藤は言う。「原発事故の被害を受けて避難しているのに、仮設でも被害を受けてしまってはやりきれない。避難せず通常の生活を続けていれば、起こりえないことなのに」(文中敬称略)
(2014年4月28日 福島民友ニュース)
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( 2014年4月28日付・福島民友新聞掲載 )
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