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支援に原発再稼働の思惑 「賠償負担金」各社は反発せず
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電力各社は原発の代替電力として火力発電をフル稼働させているが、火発燃料費増大は原発再稼働を訴える材料となっている=南相馬市・東北電力原町火力発電所
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政府の新エネルギー計画が閣議決定された4月11日、電力各社でつくる電気事業連合会の会長で関西電力社長の八木誠(64)は談話を発表、計画が原発を「重要なベースロード電源」と位置付けたのを「大変意義がある。国の基幹政策として着実な推進を」とした。
事故への反省はなく
電力業界は事故後、ことあるごとに原発停止による火力発電燃料費の負担の大きさや再生可能エネルギーの不安定さに言及し、原発稼働の利点を強調してきた。八木の談話にはその成果が表れたことへの満足感がにじむ一方、原発事故に対する反省の弁はなかった。
電力業界は事故後、停止中の原発の代替として稼働している火力発電の燃料費の増大と、東京電力の賠償資金を調達する原子力損害賠償支援機構の負担金の拠出を迫られるようになった。機構への負担金は東電の賠償負担を他の電力会社も分担するものだけに、反発がありそうなものだが、現実はそうではない。
燃料費分で元とれる
「電力各社の関心は負担金より、原発再稼働に向いている」。電力業界に精通する大和証券アナリストの西川周作(28)は解説する。例えば、関西電力が支援機構に支払う負担金は300億円超だが、原発が再稼働すれば、現在稼働している火力発電の燃料費が浮く。負担金の元は十分にとれる。また、原発事故を原因に東電が破綻すれば、原発を抱える自社の信用も揺らぎ、資金調達が難しくなる。
電力各社としては、原発再稼働に向け、賠償のスムーズな実施と金融機関からの信用は担保しておきたい。負担金は電気料金に上乗せされ、消費者の反発も予想されるが、「電力会社としては従うしかなかったのだろう」とある官僚は言う。
被災者への賠償は、原発事故の反省に基づいて支払われるべき性質のものだが、賠償資金調達の仕組みには電力会社の原発再稼働への思惑が混じる。
富岡町から三春町の仮設住宅に避難し、自治会長を務める松本政喜(66)は「経済を考えれば、全国の原発をゼロにするのは今の時点ではできないと思う」とした上で、こう言う。「今の仕組みでは、賠償金を払っているのだから原発を動かしますよ、と言われているような感じがする」(文中敬称略)
(2014年5月3日 福島民友ニュース)
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( 2014年5月3日付・福島民友新聞掲載 )
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