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「補助制度」縮小に転換 「復興には長期支援必要なのに」
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従業員が板金加工に取り組むシオヤユニテックの工場。同社は「企業立地補助金」の申請を検討している=福島市
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「立地補助金の申請は、今回がラストチャンスだよ」。板金構造物製造を手掛けるシオヤユニテック(福島市)の社長塩谷雅彦(43)は知人からそう言われたのをきっかけに、県がつくった「ふくしま産業復興企業立地補助金」などを使った工場増設の検討を始めた。「『5人以上の新規雇用』という条件が厳しくてこれまでは手が出なかったが、会社として決断する時期だ」
残り少なく四十数億円
同補助金は、原発事故の影響下で企業の県外流出を防ぐ目的もあり、工場の新増設に最大で4分の3の経費を補助する国内最高の補助率を設定した。だが、総予算額約2000億円のほとんどの支出先はすでに決まっており、残りは四十数億円にとどまる。設備投資意欲を最近になって取り戻した県内企業に、残されたパイは少ないのが現状だ。
予算が底をついているのは、制度を立ち上げたばかりの2012(平成24)年に申請が殺到したため。当初予算額を超える申請があり、財源を支出していた国は、増額と引き換えに補助率の削減を県に求めた。当時の県の担当者は「だんだん平常時の補助制度に近いものに変わっていった。経済産業省の担当者は当初、『緩い制度でいい』と言っていたのに」と、国の「心変わり」を指摘する。災害対応に当初は支出を惜しまなかった行政が、次第に厳格化していく。その落差への対応が求められているのはNPOも同じだ。
復興目的のNPO正念場
「原発事故から2年間ほどは行政も金に糸目を付けず、ほぼ外れなく助成金が獲得できた。だが昨年ごろからは縮小傾向にあり、復興目的に設立されたNPOは今が正念場だ」。NPO支援などに取り組む市民公益活動パートナーズ代表理事の古山郁(56)は指摘する。県内のNPO数は原発事故を境に急増しており、古山は「今後NPOの合併や解散が増えるかもしれない。復興には長期的な支援が必要なのに」と警戒する。
塩谷は「立地補助金のような制度は続けてほしい」と話す一方、こうつぶやいた。「被災地向けの制度に、他県は『あそこばかりどうして』と思い始めるはず。被災3県、特に福島県だけ優遇され続けるのは難しいだろう」(文中敬称略)
(2014年5月30日 福島民友ニュース)
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( 2014年5月30日付・福島民友新聞掲載 )
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