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原発災害・「復興」の影
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震災関連死の不認定が増加 予算握る国、基準を示さず

震災関連死の不認定が増加 予算握る国、基準を示さず

高野さんの母の原発事故後の日記。「早く家にかえって家族といっしょにいたい」との思いが書き付けられている

 県内では津波被災などによる犠牲者を上回る1708人が震災関連死の認定を受けている。認定は、家族がなぜ死んだのかという死者の尊厳の問題と同時に、最高500万円の災害弔慰金の支給も絡んで国の予算に関わる。これまで県内で支給された弔慰金は約95億円。このうちほぼ半分は関連死遺族への支給だ。
 「生きながらえたことで原発事故との関連が認定されないのかもしれない」。南相馬市の県議高野光二(63)は避難生活中に死亡した母=当時(90)=が震災関連死と認められなかった。
 高野の母は2011(平成23)年2月に足を骨折、入院中に被災し、自宅のあった同市小高区は避難区域となった。避難先では病院と介護老人施設を行き来する中、翌12年8月に肺炎で死亡した。市は関連死を認定する審査会で、高野の母は病院で治療を受けており避難との因果関係はないとした。

 帰還かなわず気落ち
 高野は、母の死を関連死と認めるよう市に求め、係争中だ。高野の弁護人は3日の口頭弁論で、母が生前残した日記を提出した。高野によると、避難後は日記の字が乱れ、判読が難しい。「母は帰還を希望していたが、『当分帰れない』と伝えたころから日記を書くことも減った」
 関連死が認められない例が増えている。高野の母に限らず、時間の経過とともに原発事故と死の因果関係の見方が分かれるためだ。

 市町村で異なる判断
 「震災後に死亡しても、全て関連死とはならないことが理解されていない」。同市は県内最多455件の関連死を認定してきた一方で、不認定も100件を超える。不認定の不満は、決定を下した市に向く。同市健康福祉部次長の石川浩一(56)は「本当は国が審査をすればいい」と漏らす。
 宮城、岩手両県と違い、本県は原発事故の影響で一律の対応が難しく、認定は市町村に委ねられる。それぞれの認定もまちまちで遺族の不満を生んでいる。
 高野も「関連死の基準を国が考えるべき」との意見だが、予算を握る国は原発事故による関連死について基準を示さず、県は「市町村と連携して取り組む」と基本姿勢を説明する。内閣府の担当者は「弔慰金は自然災害向けの制度。原発事故の被害は東電が賠償すべき問題」とした上で、こう話す。「(関連死の基準を)国が示すと、市町村の柔軟な対応を妨げる恐れがある」(文中敬称略)

(2014年6月5日 福島民友ニュース)



( 2014年6月5日付・福島民友新聞掲載 )
 

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