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原発災害・「復興」の影
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被災後強まる「内向き」 心に影響、関わり避ける子どもら

被災後強まる「内向き」 心に影響、関わり避ける子どもら

スマートフォンを手に取る生徒。放射線不安に伴う心への影響も心配されている(写真と記事とは関係ありません)

 「福島に生まれなければよかった」。保原高教諭の番匠あつみ(41)は、原発事故後間もないころに生徒から言われた言葉を覚えている。放射線への不安は避難者に焦点が当てられがちだが、避難しなかった子どもたちも内向きになりやすいなど目に見えない影響が出ている。番匠は事故から3年以上がたっても、さまざまな機会にそれを感じる。
 番匠は、環境省が15日に福島市で開いた同市などとの意見交換会に出席。放射線が教育現場に与えている影響などを説明し、子どもが社会と積極的に関わることの重要性を指摘した。
 事故後は、大人が子どもに外出を控えるように言ったり、部活動が制限されたりした。多感な時期に友人との接触が少なかった子どもたちは「他人との直接のコミュニケーションに抵抗を感じるようになった」と番匠の目には映る。メールや無料通信アプリ・LINE(ライン)などでのやりとりが多くなり、生徒間のトラブルも経験した。
 事故後の習慣で、マスクを手放せない子どももいる。小中学校では一時、通学の際などにマスク着用などを指導した。「今では放射線への不安というより、自分の顔を隠したいという思いが強く、写真を撮る時もマスクを外さない」

 教師の指導力向上へ
 県教委は、教職員用の指導資料を作るなど放射線に関する指導力向上を図る。ただ、高校教育課主幹の瓜生康弘(52)は「事故直後は教員から『放射線の問題をどう指導すればいいか』との問い合わせが多かったが、最近は減った」とした上で、「時間がたつにつれ個々の問題が増えた。対処できる教師の指導力がさらに問われている」と語る。
 福島大人間発達文化学類准教授の阿内春生(31)も指摘する。「震災が子どもに与える影響はまだ不透明。専門家との連携など現場への支援が必要だ」

 心の問題に事故影響
 番匠の周りでは、事故後4年目を迎え、放射線の話をする機会は減った。ただ、マスクで顔を隠すなど放射線の不安に端を発した子どもたちの心の問題は、事故の影響だと気付きにくい形で残っているようにもみえる。番匠は、顧問を務める美術部の生徒と一緒に、仮設住宅などの壁に絵を描く活動を続けている。番匠は願う。「社会と関わりながら自信や誇りを深めてほしい」(文中敬称略)

(2014年6月30日 福島民友ニュース)



( 2014年6月30日付・福島民友新聞掲載 )
 

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