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建前論固執で隔たり 元政府事故調委員長・畑村洋太郎氏
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「被災者と国との隔たりが今も埋まっていない」と指摘する畑村氏
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“つらい現実”直視を
離婚などで家族が崩壊したり、(避難区域に)帰る帰らないで意見が分かれるなど、多くの問題が同時進行しており、記事を読むとそれらが立体的に見えてくる。全て、「事故は起こらない」という前提で原発を動かしてきたことのツケだ。
被災者の考え方と国の考え方に隔たりがあって、それが埋まらないままの現状を痛感させられた。また、国や地元自治体、そして被災者までもが「建前論」に固執しているとも感じた。
特に除染について言えることだが、建前論ばかりが立派になって硬直化してしまったために、現実に即した柔軟な対応ができていない実態があらためて浮かび上がったといえる。事故直後の計画が今もそのままだったりするが、事故から3年以上が経過していることを重視すべきだ。計画や考え方をゼロから見直すことも検討すべきだろう。
記事で指摘している「事故が起きた結果どういう問題が生じたか」について、政府には世界に向けて説明する責任がある。国連や国際原子力機関(IAEA)といったチャンネルを通じた情報発信だけでなく、関心のある国に直接出向いての説明。それがなければ、事故後の問題に対し国内では何も対策が講じられていないと他国の目には映る。
時にはつらい現実も直視しなければならない。避難を強いられた子どもや若い夫婦の視点からの報道、避難に伴う生活破壊の結果、人が次々死んでいる現実を見つめる報道に、より力を注いでほしい。
はたむら・ようたろう 東京生まれ。東大大学院修士課程修了。工学院大教授、東大名誉教授、NPO法人失敗学会理事長、畑村創造工学研究所代表。73歳。
(2014年7月10日 福島民友ニュース)
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( 2014年7月10日付・福島民友新聞掲載 )
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