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原発災害・「復興」の影
連載を終えて
 
【 識者に聞く 】
丁寧に“対立の状況”を描く 福島大特任研究員・開沼博氏

丁寧に“対立の状況”を描く 福島大特任研究員・開沼博氏

「県内から見える多様な人間関係や動きを描き続けることが重要」と話す開沼氏

 議論の提供が大切
 連載を通じて描かれた、さまざまな立場の人の意識の違いは興味深かった。少しでも「(福島は)危険だ」と言うと問題になって、風評被害をあおるのかと言われる。一方で、「福島は安全」と言えば「おまえは原発推進なのか」となってしまう時期が今も続いている。そのような状況を丁寧にひもといていくという試みの意義は大きい。福島の行き場のない不安や憤りをどこに向ければいいのか、その迷いが伝わってきた。
 避難してきた人に敵意を向けてみたり、コミュニティー内部でけんかしてみたりというあつれき、もめ事は、ある面では心の傷を癒やすきっかけにも、癒やしにもなる。そうやってもめながら、自分の心を落ち着かせていく時期がこの3年間ではなかったかということが描かれていたともいえるが、それだけではいけないとも感じる。
 あつれきは以前ほどなくなりつつあり、「鼻血が出る、出ない」「戻る、戻らない」「危ない、危なくない」といった考えの違いによるすみ分けが進み、対立を避けている面がある。生きる知恵ではあるが、そのような中で、報道がもう一度、いい形で議論を提供していくことが大切だ。
 私たちは福島という池の中にいる。外からの報道は水面しか見えないから、波が立っているように見えればその波を大きく扱う。波が静かなら無関心になる。でも水の中ではもっと多様な人間関係や動きがある。池の内側から見える風景を描き続けることが大事だ。

 かいぬま・ひろし いわき市生まれ。東大大学院博士課程在籍。福島大特任研究員。著書に「『フクシマ』論 原子力ムラはなぜ生まれたのか」など。30歳。

(2014年7月10日 福島民友ニュース)



( 2014年7月10日付・福島民友新聞掲載 )
 

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