秘書も大わらわ 自民大敗で「引っ越し」「就活」
自民党が大敗した衆院選。本県選出の自民党前職も一度に4人が落選し、東京・永田町の衆院議員会館では1日、議員事務所の引っ越し作業が本格化するとともに、在京秘書陣の就職活動が動きだした。すでに引き払った引退議員の事務所を含め、政府省庁と地元選挙区との橋渡し役を担った実力派秘書が多かった自民だけに、他党・他県への流出を惜しむ声は強く、過去に例のない「政権交代」劇の余波に地方の政治人脈も大きく揺れている。
自民前職4陣営の議員事務所では、秘書らが大量の資料や書籍などを段ボールに詰め込み、引っ越し作業に追われている。衆院事務局からの退去指定日は2日。各事務所とも31日には秘書が上京し作業を開始。当選回数が多い議員ほど事務所に残る荷物は多く、男性秘書は「十何年も蓄積したものだからね」と、額の汗をぬぐった。
在京の議員秘書は解散とともに失職覚悟で選挙区に入るが、落選により多くは文字通り「失職」。引っ越し作業と再就職の問題を解決しなければならない。政府筋にパイプを持つ一方、地元の市町村長や有力者に人脈を広げ、選挙区の政策課題にも精通した秘書たちだが、落選議員は政府が人件費をもつ「公設」秘書を置けないなど政治活動費の都合で秘書を地元に抱え込むのは難しいのが実情。しかし、本県なじみの秘書たちが10人前後、一度にいなくなるのは異例だ。
自民系秘書が大量失職した今回、自民党議員の事務所に就職口はほとんどない。一方、党派をまたぐ転職が物議を醸す世界のため民主党議員の秘書になるのは「難しい」という話が永田町に広がっている。ある男性秘書は「女性秘書は事務系の仕事はまだあるが、男性秘書の職探しは容易でない。感傷に浸っている余裕はないよ」と嘆いた。
(2009年9月2日 福島民友衆院選ニュース)
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